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タイガー・ウッズの立ち止まる勇気。
「パーを拾い続ける積み重ねが大事」
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/02/19 12:30
「大事なのは積み重ね」という当たり前の言葉も、タイガー・ウッズにこの表情で言われたら重さが何倍も違うのだ。
マキロイもトーマスも「タイガーは復活のすぐそば」。
「不満なところもある」とは、言うまでもなく、ゴルフそのものの現状だ。
ナイスドライブもあるが、曲がるときは左右どちらにも大きく曲がるドライバーショット。2日目のラウンド途中、ウッズは同組だったローリー・マキロイとしきりと話をしていたが、それは「スピン量の話。ドライバーを変えたからね」といった内容だったそうだ。
マキロイいわく、「タイガーは用具で悩んでいるんだと思う」。
アイアンショットは「かつては常にピンハイに打って攻めていたけど、今はそのレベルではない」とウッズ自身が痛感している。やはり同組だったジャスティン・トーマスいわく、「タイガーはアイアンの距離コントロールがうまくできていないんだと思う」。
マキロイもトーマスも、現在のウッズの技術上の問題点をそれぞれに指摘。「でも、タイガーは復活のすぐそばまで来ている」「復活はとても近い」と口を揃える。
夢中で試合を戦えたことこそが貴重な前進。
だが、ウッズ自身は復活が近いか遠いかではなく、もっと足元に視線を向け、自分がどれだけ前進できているかを感じ取っていた。
「ホームゴルフとトーナメントゴルフはアドレナリンの出方が違う。試合ではアドレナリンが湧き出し、試合後はカラカラに枯渇するんだ」
その感覚を実感できたこと、それぐらい夢中で試合を戦えたということが、今のウッズにとっては大きくて貴重な前進なのだ。
予選2日間、リビエラにはウッズの母クルティダの姿があった。ロープ際に簡易チェアを立て、大きな帽子の下で彼女は静かに微笑んでいた。
「僕がいろんなことで苦しんでいた姿を見て母も心を痛めていた。僕がここに戻ってきてプレーできたことを母はとても誇りに思ってくれている」