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タイガー・ウッズの立ち止まる勇気。
「パーを拾い続ける積み重ねが大事」
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/02/19 12:30
「大事なのは積み重ね」という当たり前の言葉も、タイガー・ウッズにこの表情で言われたら重さが何倍も違うのだ。
立ち止まることが苦手だったウッズ。
42歳という年齢になり、「人間が丸くなった」と人々は言う。それは確かにあるのだろう。でも、それだけではないはずだ。
かつてのウッズは、立ち止まることが苦手だった。膝の悪化、腰の悪化を感じ、手術や治療の必要性を感じても、ゴルフ界の王者は常に走り続けたい、走り続けなければいけないと考えていた。
戦線離脱の期間を最短に抑え、1日でも早く復帰するために、リスクの少ない小規模な治療や手術にとどめ、1分1秒を惜しむかのように闘いの場へ舞い戻った。
焦っていた? 生き急いでいた? その積み重ね、そのツケが回って抜本的な治療の必要性に迫られた。
それが昨春に受けた4度目の腰の手術。リハビリに時間を要したが、リスクがあった分、回復度も高く、それが復帰戦となったファーマーズ・インシュアランス・オープンでの予選通過につながった。
そして今週は、自身が率いる財団(タイガー・ウッズ財団からTGR財団へ改名)がサポートするジェネシス・オープンに大会ホストとして出場し、来週は大陸を横断して2週連続で出場する。
「何年も僕にはできなかったこと」
そんな日程が組めることは、走り続けてきたウッズが初めて立ち止まった決断が正しかったことの証。着実にネクストステップを踏んでいることの証だ。
「不満なこともあるけど、こうして試合に戻ってくることができて、ラウンド後は毎日、練習もできている。それは、ここ何年も僕にはできなかったこと。そう、大事なのは積み重ね。これからも積み重ね続けていきたい」
なるほど。36ホール目で見せたあの笑顔は「積み重ねている」という実感の表れ。そう思って眺めていたからこそ、眺めていた大観衆もみな笑顔になったのだろう。