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タイガー・ウッズの立ち止まる勇気。
「パーを拾い続ける積み重ねが大事」
posted2018/02/19 12:30
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Sonoko Funakoshi
「初めてみる笑顔だな」
この写真を撮ったのはタイガー・ウッズの復帰2戦目となったジェネシス・オープン、2日目の最終ホールだった。
米カリフォルニア州ロサンゼルス郊外にある名門リビエラCCの18番グリーン上。ウッズは残念ながら予選落ちとなったが、キャップを取り、大観衆に笑顔で応えた。
その瞬間、ウッズの穏やかな笑顔が意味するたくさんの事柄が私の頭の中を駆け巡った。そして、彼のその笑顔を大勢の人々に見てもらいたいという一心で、私は夢中でシャッターを切った。
予選落ちして笑顔を見せるのは「初」?
言うなれば、ジェネシス・オープンのウッズは「初」づくしだった。
3週前のファーマーズ・インシュアランス・オープンで1年ぶりに米ツアーに復帰し、2015年以来「初」の予選通過を果たしたばかりのウッズ。
今週のジェネシス・オープンとその舞台リビエラは、1992年に16歳だったウッズがアマチュアとして米ツアーに初出場した思い出の場所で、思い出の大会。だが、一度も勝利が挙げられなかったウッズはいつしかリビエラから遠ざかり、今年は2006年以来「初」の出場となった。
さらに、次週のザ・ホンダクラシック出場も発表された。故障、手術、リハビリ続きだったウッズが2週連続で出場するのは、これまた2015年以来「初」のことになる。
そのエントリーが発表され、「タイガーが来週も出るぞ」とジェネシス・オープンのメディアセンターがにわかに騒々しくなったちょうどそのころ、ウッズはリビエラで第2ラウンドをプレーしていたが、すでに彼の予選通過は絶望的だった。
初日は5バーディー、4ボギー、1ダブルボギーと出入りの激しいゴルフながら1オーバー、72と踏ん張った。「愚かなボギーさえ減らせれば、リーダーボードを上がっていける」と予選通過に自信さえ覗かせていた。
だが、2日目はティショットが左右に曲がり、アイアンショットは文字通りグリーンの前後左右に外れ続けた。「愚かなボギー」はむしろ増え、3バーディー、8ボギーの76。通算6オーバーはカットラインに4打も及ばず、予選落ちとなった。
2日間でフェアウェイキープできたのは、28ホール中13回。グリーンを捉えたのは36ホール中16回。どちらも50%にも満たない内容だったが、ウッズが最後に見せたのは満たされた表情だった。
予選落ちしても、穏やかな笑顔。そういうウッズの笑顔を見たのは、考えてみれば「初」だった。