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谷原秀人が欧州ツアーを回る理由。
ゴルフ界では珍しい短パンも慣れて。
posted2018/02/08 17:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Yoichi Katsuragawa
一昨年のはじめ、欧州ツアーは選手たちに試合会場でのショートパンツ着用を認めた。
同ツアーはイギリス・ロンドン近郊にヘッドクォーターを置きつつも、年間スケジュールはユーラシア大陸から、アフリカ、オーストラリアまで足を延ばして構成されている。中東や東南アジアをはじめ酷暑の中でプレーすることもあり、また“ゴルフの近代化を目指す”という使命のもと、練習日限定でこの施策は実施されている。
ひざ下を見せたプロゴルファーはみなカジュアルで、若々しくというか、だいぶヤンチャに見える。
39歳の谷原秀人もまた、そうだった。
「なんかね、ずっと短パンを穿いてこなかったからか、最近ヒザの裏なんかがかぶれたりするんだ。“太陽アレルギー”かな。ドバイ(アラブ首長国連邦)とか南アフリカで……。湿度が高い東南アジアなんかだとマシなんだけど。だから、穿こうかどうかいつも悩む」
素肌を気にしながらも嬉々として涼しげにしている姿は、40代を目前にして世界を転戦するキャリアを謳歌するようだった。
1年で30カ国を回る過酷な欧州ツアー。
谷原は昨年、メンバー入りした欧州ツアーの年間ポイントレースで27位に入ったことでシード権を獲得。「ただ上手くなりたい」というモチベーションで、14勝を挙げた日本ツアーを飛び出した。
ローリー・マキロイ、ジャスティン・ローズ、セルヒオ・ガルシアといった選手たちを育てた欧州ツアーは、1シーズン29カ国で行われる。言語や文化の違い。それに伴う時差や長距離移動というハードルを越えた末に、地域ごとに屈指のコースが待ち受けている。
「やっぱりレベルが高い」と谷原は言う。
1月中旬は、中東で2試合を戦った。
「(18ホール合計)実質7600ヤード近いコースで、5アンダーが予選カットラインになった。そこまで行かないといけない。うまく行かないと、平凡なスコアで終わる」
谷原は日本でも、飛距離をアドバンテージにするタイプではなかった。海を渡ればなおさらだ。