フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER

名古屋GPファイナルで宇野昌磨2位。
それでも「後悔なし」だった理由。 

text by

田村明子

田村明子Akiko Tamura

PROFILE

photograph byAsami Enomoto

posted2017/12/11 17:00

名古屋GPファイナルで宇野昌磨2位。それでも「後悔なし」だった理由。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

19歳の宇野、18歳のチェン、22歳のコリヤダ――次世代を担う若者たちがズラリと表彰台に並んだ。

宇野の目標は、「自分の演技をすること」のみ。

 わずか0.50の差で2位という結果は、地元開催だっただけに残念である。それでも本人は、結果に悔いはないという。

「地元(開催)ということでぼくはすごく満足しているけれど、期待にこたえられなかったと思うので、すごく申し訳ない気持ちはある」と言いながらも、「ただ自分が後悔することは、その前(本番直前)の調整だけ。今は、次に生かせばいいかなと思っている」

 その理由はインフルエンザから回復したての身体で挑んだフランス杯が、あまりにも苦しかったから。

 ここではひたすら自分の演技をしよう、と思って挑んでいたのだという。

「改めて振り返って、試合がすごく楽しかったと思います。でも次、同じような演技をして同じような結果になったら、悔しいと思う」と言葉を結んだ。

コリヤダのコメント誤訳事件の真相は。

 3位に入ったのは、ロシアのミハイル・コリヤダだった。

 フリーでは冒頭の4ルッツ、4サルコウと連続で転倒したものの、後半で盛り返して4+3トウループなどを成功させ、総合282.00で初出場のGPファイナルで銅メダルを射止めた。

「結果には満足しているけれど、もちろんこれからやることは沢山ある。家に戻ったら少し体を休めて、ロシア選手権に向けて練習を再開していきます」と会見で語った。

 SPの後の会見の際に、彼の言葉が誤訳をされるというちょっとした事件が起きた。

 平昌オリンピックへのロシアチームの派遣を禁じるというIOCの決断についてどう思うかという質問に、コリヤダは「(個人として)出場できることになったのは、正しい判断。正直に言えばロシアが出場しないオリンピックはオリンピックではない」と言ったのに対し、日本語での訳が「ロシアがしたことを考えれば、この処分は当然のこと」にされていた。

 ロシアは現在でもソチオリンピックで組織的なドーピング違反があったとは認めていない。

 コリヤダの発言は、ロシア語のできるISUレポーターが英文に訳したものと、日本語通訳の相違に関係者が気が付いて、翌日急きょISUから正式に訂正文が出された。

【次ページ】 若手選手たちへの、これからの期待。

BACK 1 2 3 4 NEXT
宇野昌磨
ネイサン・チェン
ミハイル・コリヤダ
ジェイソン・ブラウン
アダム・リッポン
セルゲイ・ボロノフ
羽生結弦
ハビエル・フェルナンデス
パトリック・チャン
ボーヤン・ジン
平昌五輪
オリンピック・パラリンピック

フィギュアスケートの前後の記事

ページトップ