フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
名古屋GPファイナルで宇野昌磨2位。
それでも「後悔なし」だった理由。
posted2017/12/11 17:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto
12月7日から名古屋の日本ガイシホールにて、2017年GPファイナルが開催された。
今シーズンは羽生結弦、ハビエル・フェルナンデス、パトリック・チャンら表彰台の常連選手が不在の上、ボーヤン・ジンまで怪我で棄権。代わりにミハイル・コリヤダ、ジェイソン・ブラウンの初進出の2人と、アダム・リッポン、セルゲイ・ボロノフらのベテラン勢が健闘した。
注目はやはり宇野昌磨とネイサン・チェンの戦いだったが、僅差でチェンが初タイトルを手にした。
「ここでの結果は嬉しいけれど、演技そのものには満足していません。でもこれを学びの体験として、自分の欠点を見つめなおし、シーズンこの先さらに成長していきたいと思います」
18歳のネイサン・チャンは、優勝会見でそう口にした。
SPは大きなミスなくトップだったものの、フリーではジャンプのミスがいくつか出た。総合286.51という数字は、彼の自己ベストスコア307.46よりも20ポイント以上低い。結局どのトップ選手もジャンプミスが出て、不完全燃焼気味の男子シングルだった。
4回転の難易度を落として完成度を上げる、という選択は考えていないのかと聞かれると、チェンはこう答えた。
「オリンピック前に全米選手権があるので、その後に具体的に戦略を決めることになると思う。でもシーズンを通して、複数の4回転をやってきたのは自分に有利にはたらいてきました」
2位に終わるも、演技後には皆を和ませてくれた宇野。
地元名古屋開催で、優勝を期待されていた宇野昌磨はわずか0.50の差で2位に終わった。
SPでは、4フリップ、4+3トウループのコンビネーションを完璧に決めるも、3アクセルで一度着氷したが、エッジが抜けて転倒した。滑り終えると、手を頭に当てて「やってしまった!」と言わんばかりにぺろりと舌を出した。
演技後、3アクセルの転倒の理由を聞かれると、普段のようなテイクオフができなかったため、きつく体を締めたら回りすぎて、普段とは違う位置に着氷したのだという。
「自分(の気持ちの中)では降りていたんですが、氷がなかったです」と、記者たちを笑わせた。