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高卒と大卒、志望届を2度出すも……。
指名されなかった人が見たドラフト。
posted2017/11/28 07:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
ドラフト会議からおよそ1カ月。
今のところ、昨年の日本ハム6位指名・山口裕次郎投手(履正社高→現・JR東日本)のような「入団拒否」を伝える報道も聞こえて来ず、今年は各球団、順調な入団交渉を進めているようだ。
そんな中、ある人のこんなつぶやきが、なんだか気になっていた。
「指名された人はいいけど、志望届を出したのに指名されなかった人はどうしてるんだ、今ごろ……」
プロ野球志望届を提出するには、いくつかの理由や動機がある。
まず最も多いのが、真剣にプロ野球の世界でプレーすることを熱望し、ドラフト指名に備えて志望届を提出する場合。さらに四国、北信越等々にある独立リーグへ進もうとする者も提出しなければならないし、メジャーリーグに挑戦しようとする選手も同様である。
この制度が始まったのは2004年からだが(大学生は2007年)、志望届を提出した選手は、その名前が連盟のホームページなどで公表されるので、自分が高校野球や大学野球を続けてきた“記念”や“足跡”として志望届を提出する者もいたが、ここ数年はそうした冷やかし組はほとんどいなくなったようだ。
高校生の50%以上、大学生は70%が指名されない。
今年のドラフトでは、106人の高校生がプロ志望届を提出し、そのうち49人がドラフト指名され、大学生は105人が提出して33人が指名された(どちらも育成ドラフトを含む)。
ある人が「どうしてるんだろ……」と心配していた、「指名されなかった人」は、高校生で54%、大学生では70%近くに及んでいた。
「一度ならまだしも、高校でも、大学でもプロ志望届を出して、2度とも指名漏れした人だっているんでしょう?」
その心配は、さらに広がっていた。