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工藤監督は、今宮健太の話がしたい。
右打ちをやめ、取り戻した打の意識。

posted2017/11/28 11:00

 
工藤監督は、今宮健太の話がしたい。右打ちをやめ、取り戻した打の意識。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

今季の今宮は出塁率.317、長打率.422、OPS.739とチームへの貢献度が高い打撃を見せた。

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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Hideki Sugiyama

「ん、もう終わり? 今宮くんのことはいいの?」

 工藤公康監督から報道陣へ質問を催促するという、ちょっと珍しいシーンがあったのは、11月17日の宮崎キャンプ中のことだった。

 帰り際の指揮官を“鷹番”が取り囲むのはいつもの光景。一日の振り返りと共に、この日は夕方に発表されたベストナインに甲斐拓也が初選出されたことに対するコメントをもらうのが主な目的だった。

 育成出身選手としては史上初の快挙。また甲斐はゴールデングラブ賞にも輝き、ちょうどその時期は侍ジャパンのユニフォームを着て戦っていたこともあり、メディアにとっては「字になる」うってつけの存在だったのだ。

就任当初から、東浜と今宮を評価し続けてきた。

「おめでとうございます。何事に関しても一生懸命やっていた。その頑張りを評価してもらえたのでしょう。リード面でも投手と話をしながらいい勉強をしたと思うし、リードもコミュニケーションも、もっともっと上のレベルを目指してやってもらいたいね」

 笑顔で言葉を並べる工藤監督。ただあまり引き止めるのも……という空気が番記者の間に流れたころ、冒頭のシーンとなったわけである。となれば現金なもので、ついペンを持つ手に力を込める。工藤監督はその様子にニカッと笑って言葉を継いだ。

「(今宮が受賞と)聞いた瞬間にガッツポーズをしましたよ。今年の彼は、通常の2番打者に求められるもの以上の働きを見せてくれましたから」

 今季が3年目となった工藤監督は、就任当初から「投手では東浜くん、野手では今宮くんはものすごい能力を持っている。もっと上を目指せる」と言い続けていた。今季は東浜巨が16勝で最多勝に輝いており、今宮もまた大きな勲章を手にしたことがたまらなく嬉しかったようだ。

【次ページ】 最高の守備に比べて打撃が弱点だったが……。

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