セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
またも名将に認められた長友佑都。
インテルで先発奪回の要因とは何?
posted2017/10/18 11:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
厳しい戦いの中でも、インテルの指揮官スパレッティは決してユーモアを忘れない。
「初めてのミラノ・ダービーは、初恋のようだった」
15日、スパレッティ率いるインテルは満員に膨れ上がったサン・シーロで宿敵ミランを下し、8節を終えたセリエAで単独2位につけた。2点ずつを取り合い、90分目のPKで決着がついた激闘を忘れられようか。
「いや、忘れるよ。忘れなければならない」
入道頭の指揮官は、試合後の会見で質問者を煙に巻きながら、勝利の余韻にひたる様子を微塵も見せなかった。彼とそのチームは前だけを向いている。
深まる秋のセリエAで、インテルが見せるのは無類の堅守だ。
ダービーこそ3-2と打ち合いになったが、開幕以降7節までわずか3失点、リーグ最少を誇った。7年ぶりの好成績で、首位ナポリに次ぐ2位につける。昨季7位に終わったインテルは、開幕前の下馬評を裏切るロケットスタートに成功した。
スパレッティが植えつける、荒削りなスタイル。
ただし、プレー内容がいいかというとそうでもない。
ボールと人の動きが滑るように繋がるナポリの機動サッカーと比べると、1年目の指揮官スパレッティがインテルに植え付けようとしているそれは、ピッチのあちこちに濁音の響きが残る、荒削りなものだ。
エースで主将のFWイカルディ以下攻撃陣が「流れの中からの点が少ない」という批判に耐える一方、守備陣はこれまでに4試合を完封、ゴールに鍵をかけている。
相手を完全に力でねじ伏せた試合はまだない。試合終了間際のセットプレーから1-0で勝った6節ジェノア戦が好例だが、苦戦しながらしぶとく勝ちを拾ってきた。