今のインテルは決して“1人で守らない”。

　インテルの堅牢な守備で顕著なのは“1人で守らない”ことだ。

　グラウンド上の位置によってプレスのかけ方は異なるが、相手のボールホルダーには必ず前後左右いずれかで2人もしくは3人がかりで詰め、ボールを狩る。

　サイドからハイボールを放り込まれても、DFミランダと新加入DFシュクリニアルによるセンターバックコンビが慎重に対処する。もちろん肉弾戦も厭わない。

　最終ラインとフィルター役のダブルボランチとの連係は試合を追うごとにこなれてきており、いざ攻め込まれれば2列目のFWペリシッチまでもが自陣に戻り、つぶし役として汗をかく。

　連係とフィジカル。今季のインテルは、11人全体で守る意識が徹底されている。

新加入ダウベルトよりも長友が信頼を得た理由。

　堅守を担うユニットの1人として、すっかり復調したDF長友佑都についても触れないわけにはいかない。

　昨季出場機会を著しく減少させた長友だったが、今季就任したスパレッティの信頼を得た。15日のミラノ・ダービーで今季5度目の先発出場を果たし、プレー時間は437分を数える。

　クラブは夏の移籍市場で、長友の主戦場である左サイドバックを補強するために、大枚2000万ユーロを費やしてDFダウベルトを獲得した。

　長友より7歳も若く、上背もあるブラジル人DFは地元メディアからの期待が高かった。新聞もTVも、開幕前のスタメン予想で左SBの位置にはダウベルトの名を置いた。

　だが、イタリアやロシアで幾多の修羅場をくぐってきた名監督スパレッティは、ごく冷めた目で戦力を判断することで知られている。ローマ時代には猛批判を覚悟で、王様トッティに引導を渡した。

　ベテランになったとはいえ、要求されたタスクを実直にこなすプロとしての長友の姿勢こそ、歴戦の指揮官が求めるものだ。

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