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女子マラソン安藤友香&清田真央。
「世界はそんな遠くない」の根拠。
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![柳橋閑](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/b/1/-/img_b18a03995cc57ecbde24cf30a4af247535004.jpg)
柳橋閑Kan Yanagibashi
photograph byNanae Suzuki
posted2017/08/02 11:00
![女子マラソン安藤友香&清田真央。「世界はそんな遠くない」の根拠。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/b/c/700/img_bcbdcf69b37b299d87e6b572cae0a683178832.jpg)
2人はスズキ入社後に里内コーチと作り上げた独特のフォームで、世界の強豪に肉薄できるだろうか。
「目標は東京でのメダル。世界陸上を通過点に」
一方の清田も、けっして諦めていなかった。キルワと安藤の姿は目視できないが、カメラ車は見える。ひたすらそれを追いかけ続けた。里内やチームメイトから「後半もういちど行けるぞ」と声をかけられ、「まだ行ける、まだ行ける」と、最後まで気持ちを保ち続けた。結果、自己記録を45秒更新する2時間23分47秒の3位でゴール。ただ「勝負所に自分がいられなかった」と悔しさを噛みしめ、安藤とは別の涙を流した。
安藤の2時間21分36秒は初マラソンの日本最高記録であると同時に、日本歴代4位の記録でもある。停滞状況が続いていた日本のマラソン界にとっては久しぶりの明るいニュースとなった。
レースの5日後、2人は晴れて今夏の世界陸上の代表に選ばれた。しかし、本人たちに浮かれる様子はまったくない。彼女たちの視線の先にあるのは、あくまで2020年の東京五輪だからだ。
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「目標は東京でメダルを獲ること。世界陸上はそのための通過点だと思っています」
2人は声を揃える。
「東京五輪でメダルを」と語る選手は大勢いる。だが、そこまでのロードマップを具体的に描き、日々の練習に落とし込み、一つひとつの試合で表現していける選手は少ない。2人は名古屋でキルワという“世界”にチャレンジし、少なくとも途中までは勝利へのイメージを具現化してみせた。
レース前、安藤と清田はこんなことを話していたのだという。
「行けるところまでキルワに付いていこう。でも、最後ふたりが残ったら、そこからはガチンコ勝負だからね」
現実にそんなシーンが見られる日は、意外と近くまで来ているのかもしれない。
(Number925号『東京へ 安藤友香&清田真央「世界はそんなに遠くない」』より)
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