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メッシと同時代を生きる幸福と不幸。
誰を見ても「でもメッシの方が……」。 

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北條聡

北條聡Satoshi Hojo

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posted2017/05/04 11:00

メッシと同時代を生きる幸福と不幸。誰を見ても「でもメッシの方が……」。<Number Web> photograph by AFLO

メッシが世界最高の選手の座について、もう10年近くが経った。しかしメッシがいなくなっても、サッカーは続いていくのだ。

「メッシ至上主義」はすべての世代が一度は通る門。

 最近はいわゆる「監督目線」でサッカーを楽しむファンも多いのではないか。個人(選手)の超絶美技もいいけれど、戦術的な意図や駆け引きや交代策を含む指揮官のベンチワークだって楽しめる。どんな策をもって、メッシを封じるのか。言わば「個人対組織」という図式が成立するところもまた、面白い。かようにサッカーの楽しみ方は重層的、かつ多層的なものと言えるかもしれない。

 マニアにとっては、楽しみ方が多すぎて、レオロス症候群にかかる暇もない――というのが正直なところか。

 おそらく、メッシを知らない未来の世代にとって、レオロス症候群など意味不明だろう。メッシ直撃世代の若者が、やたらとマラドーナを持ち上げる「ディエゴ至上主義」のオッサンたちに辟易したように。あるいは、マラドーナ世代のオッサンが「ペレこそ絶対」と説く先行世代の主張を理解できなかったように。

 言わば、すべての世代が一度は通る門。そこをくぐれば、あとは一直線に伸びたオタク街道を突っ走るだけ――かもしれない。

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リオネル・メッシ

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