藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
欧州で指導中、藤田俊哉が観たCL。
「グリエスマンは日本人のお手本」
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph byToshiya Fujita
posted2017/05/03 11:00
CLの会場にも精力的に足を運ぶ藤田氏。CLに日本人選手が出場する、という事実だけでも日本サッカーの成長を実感している。
次はCL決勝のピッチで戦う日本人選手を見たい。
Jリーグではそのような感覚があったのか……といえばエムボマ(G大阪)を思い出す。彼のドリブル突破からの強烈なボレーシュートは衝撃的なゴールシーンだった。シセのインパクトはエムボマのそれと重なる、規格外なものだった。
それでも、自分が戦ったステージはCLではなくELでのもの。CLはさらに高いレベルにあることは間違いないから、僕にとってそれは夢のような舞台なのである。
その舞台に挑戦した内田や長友、本田や香川、岡崎らがそれぞれ素晴らしい活躍を見せて、今やCLグループステージを突破するクラブに所属するまでに至っている。特にシャルケの内田はベスト4に進む快進撃を果たし、新しい歴史を作った。
僕には特別の世界に感じられていた舞台で、彼らは毎年戦える選手となり、更には活躍し得点を決めるまでになっている。そのような選手達を本当に頼もしく感じている。
次のステップでとしてはCL決勝のピッチで戦う日本人選手を見たいということ。今現在、アジア人選手で決勝の舞台に立ったのは、パク・チソン(マンチェスターU)ただ1人だけ。宇佐美貴史(元バイエルン・ミュンヘン)も決勝の舞台でベンチ入りは果たしたが、プレーすることはできなかった。
日本人と体格に差のないグリエズマンがJに来たら……。
それでも日本サッカーはこれまで確実に成長してきた。その選手達の中から、いつの日かこの舞台でクラブの中心選手として活躍し欧州を制覇してくれる日が来るのを心待ちにしたい。
日本サッカーが世界のトップとなり、常にフットボール界をリードする日が来るのを楽しみにしている。
最後になるが、CLベスト4をかけての戦いの中で見た、アントワン・グリエスマン(アトレティコ・マドリー)のスピードに乗ったドリブル突破と、そこからPKを獲得したシーンからは色々なことを考えさせられた。
体格的には日本人の我々と大差はない彼だが、そのプレーは技術レベルが高く抜群のスピードがあり、ヘディングも強く、非常にお手本となる選手と言える。このような選手を近い将来Jリーグでも見ることができれば最高に嬉しい。