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CL4強に残ったモナコって一体何者。
富豪だらけの国で育成クラブが成功?

posted2017/04/30 11:30

 
CL4強に残ったモナコって一体何者。富豪だらけの国で育成クラブが成功?<Number Web> photograph by AFLO

ムバッペとファルカオの年齢差デコボココンビがモナコの看板だ。ムバッペのドリブル、ボールタッチは一見の価値がある。動画サイトでぜひどうぞ。

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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 レアル・マドリー、ユベントス、アトレティコ・マドリー、そして……モナコ?

 チャンピオンズリーグの4強に、あまり馴染みのないクラブが残っている。欧州フットボールを熱心に追うファンはともかく、そんな風に思った人も少なくないだろう。

 実際、シーズン開幕前に彼らの現在地を予想できた人は皆無に等しかったはずだ。昨季のリーグアンを3位で終えたモナコは、この大会に予選3回戦から出場。フェネルバフチェ、ビジャレアルと2つの難敵を下して本戦にたどり着くと、レバークーゼンやトッテナムらを抑えてグループを首位で勝ち抜けた。

 スパーズ(トッテナムの愛称)の体たらくにも助けられたと見る向きは多く、ラウンド16の対戦相手にジョゼップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティを引いたときは、さすがにこの若いチームの勢いもここまでかと思われた。

 ところが、第1戦を打ち合いの末に5-3で落としながらも、第2戦で3-1の勝利を収めてアウェーゴール差で逆転突破。先のベスト8では、相手のドルトムントが爆破事件に見舞われる事態があったとはいえ、連勝で準決勝に駒を進めている。

UEFA公式は、1995年のアヤックスを引き合いに。

 気鋭の指揮官が束ねる、フレッシュな若者たちが中心のチーム。欧州の頂点まであと2つに迫った彼らについて、「1995年に優勝したアヤックスを想起させる」とUEFA公式は表現した。確かに、共通点は多い。

 まだボスマン判決が下される前だった当時、アヤックスには18歳のパトリック・クライファート(1995年の決勝で唯一の得点を記録)とヌワンコ・カヌ、19歳のクラレンス・セードルフ、22歳のエドガー・ダービッツら、10代後半から20代前半の若手がたくさんいた。そして要所は、ダニー・ブリントやフランク・ライカールトといったベテランが引き締めていた。彼らを動かしていたのは、当時43歳のルイス・ファンハール監督だ。

【次ページ】 アカデミー育ちの若者と、ビッグネームが揃う。

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