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田中順也が岡崎慎司に相談した事。
海外で家族と暮らすことの難しさ。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2017/02/21 11:30

田中順也が岡崎慎司に相談した事。海外で家族と暮らすことの難しさ。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

自らを「リーダータイプではない」と語る田中順也。しかし、彼のポジティブな存在感は、チームに確実にいい影響をもたらすだろう。

岡崎の家族への思いに心を打たれた。

 今年1月、田中は岡崎の『家族について、思うことのすべて』という手記を読んだ。そこには家族と離れて海外で活躍しながらも、改めて家族の重要さに気づき、イギリスで再び一緒に暮らすことを決めた岡崎の心情が書かれていた。田中は、葛藤する岡崎と家族への愛情に心を打たれたという。

「すごく共感しましたね。僕は別居という形はとらなかったですが、岡崎選手は心のダメージを深く負っていて、いろんな葛藤を抱えていたんだなって思いました。それでも結果を出して、代表でも活躍している。そして今、家族とイギリスで暮らしている。本当にすごい選手ですし、人としてとても尊敬しています」

 家族とともに。

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 その思いを胸に刻み、田中は神戸に家族とともにやってきた。初の関西で友人もほとんどいないが、新天地での生活は楽しみだという。

「神戸は本当にいい街ですし、住みやすい環境ですね。海外と違って当たり前ですけど言葉も通じる。これから娘が大きくなるにつれ、僕がサッカーをやっているのが分かると思うので、その姿を見せたいですし、腰を落ち着けて生活していけるようにしたい。そのためには神戸で結果を出さないといけない」

柏時代の恩師、ネルシーニョの下で再び。

 田中が目指すのは、13得点を奪って柏をJ1優勝に導いた2011年の活躍ではなく、11得点11アシストを決めた2013年だという。

「得点だけよりも、僕にとっては二桁得点、二桁アシストの方が価値がある。チームの勝利に、より貢献できるからです。神戸で2013年の成績を超えるような活躍して、自分のキャリアを締めくくれるような結果を残したい。そうして神戸でタイトルを獲って、代表にも復帰して、家族を幸せにしたいですね」

 神戸の監督は柏時代、田中を見出してくれたネルシーニョだ。チーム内の競争はあるが、自分のことをよく知り、信頼してくれる監督の下でプレーするやりがいを、田中は感じている。監督とクラブの期待を裏切ることができないプレッシャーが田中を駆り立て、キャンプから体を作り、徐々に柏での好調時のフォームを取り戻しつつある。

 自分のため、そして家族のために、もう一度サッカーで輝く。

 家族とともに田中の神戸での挑戦がいよいよ始まる。

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