話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
田中順也が岡崎慎司に相談した事。
海外で家族と暮らすことの難しさ。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/02/21 11:30
自らを「リーダータイプではない」と語る田中順也。しかし、彼のポジティブな存在感は、チームに確実にいい影響をもたらすだろう。
3年はポルトガルでやりたいと思っていたが……。
自分のキャリアのこと、家族のことを考えての大きな決断だった。
「すごく悩みましたけど、僕にとって一番大切なものは家族。家族の幸せが僕の幸せなんです。ポルトガルに行く時も僕の決断を尊重してくれて、一緒についてきてくれて、子育ても食事もすべてやってくれた。家族があっての自分なんだなというのを感じていました。だから、別居してサッカーというのは考えられなかった。
もちろん個人的には、ポルトガルで3年はやりたいと思っていました。ポルトガル代表がごろごろいるチームで実力的に足りないものを感じていましたけど、挑戦したい気持ちはあった。でも、自分の今後や家族のことを考えると、日本に帰って出直すのが一番いいと決めたんです」
清武も、家族の問題があったのではと想像する。
ポルトガルで田中は、海外で成功することの難しさを改めて実感したという。
田中自身はサッカーが仕事なので、練習と試合に明け暮れる。競争はあるが、自分が望んだ世界なのでストレスも糧になると頑張ることができる。
一方、家族は日々の生活の中でいろんなことに対応していかなければならない。田中自身が十分にフォローできない時もある。特に子供が小さい場合、周囲にサポートしてくれる人がいればいいが、そういう存在がおらず、言葉も分からないとなると妻が抱えるストレスは深刻なものになる。
「海外でプレーして活躍するのは、本当に大変だと実感しました。それは行った人間にしか分からないでしょうね。清武(弘嗣)がスペインから帰国して、それは出場機会に恵まれないのがあるけど、家族の問題も大きかったと思います。だから今、家族とともに海外に行き、プレーして活躍している選手はもっともっと評価されていいと思いますね」