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平尾誠二の死に戦友がかける言葉。
大八木淳史「平尾、何やっとんねん」 

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photograph byNaoya Sanuki

posted2017/02/10 07:00

平尾誠二の死に戦友がかける言葉。大八木淳史「平尾、何やっとんねん」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

ラグビーは「おかげさま」のスポーツ。

 グラウンドでの僕と平尾の関係を、漁師と寿司職人の関係にたとえた人がいます。

 僕らFWが泥臭く前に進めて作ったチャンスボールを、平尾率いるバックスが華麗に仕留めて得点をあげる。漁師が釣ってきた新鮮な魚を、寿司職人が見事な手さばきで握っていくのと少し似ているかもしれません。

 でもラグビーは「おかげさま」のスポーツ。

 FWだけ、バックスだけでは点はなかなかとれません。新鮮な魚がなければ寿司は握れないし、職人がいなければ魚はお寿司になれないんです。僕は平尾の「おかげさま」で今があるし、彼もきっと、そう感じていたと思っています。

まだできることはあった。表舞台で活躍してほしかった。

 優れた戦術眼。華麗なるステップと、自在のパスワーク。

 彼は世間的には誰よりもスマートで、貴公子的なイメージが強かったけれど、一方で泥臭いプレーを厭わない、熱い選手でした。

 しんどいことや辛いことを決してごまかさない。'88年、神鋼で彼がキャプテンになった時も「もっと激しく、熱くやろう」と仲間を鼓舞し、率先して自分から敵に突っ込んでいった。

 当時、僕は副キャプテン。年齢なんて関係なくて、神鋼と日本ラグビーのことを考えたら平尾がキャプテンになって僕が下から支えるのが一番よかった。

 毎日、喫茶店で話し合いながらたどり着いたチーム方針が、「80分集中して、ボールを生かし続ける」ことでした。前例にとらわれず、スクラムが弱いことを逆手にとってFW戦は挑まず、いかにバックスに生きたボールを出せるかを突き詰めました。

 その先に待っていたのが、日本選手権7連覇の栄光でした。

【次ページ】 「彼のキャリアはほぼそのまま、僕のキャリア」

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