岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER
世界5位に健闘、10位に完敗の理由。
岩渕健輔が語る日本ラグビーの課題。
posted2016/12/01 17:55
text by
岩渕健輔Kensuke Iwabuchi
photograph by
AFLO
こんにちは。日本ラグビー協会、代表GMの岩渕健輔です。今回はテストマッチの後半戦、ウェールズ戦とフィジー戦を、みなさんと一緒に振り返っていきたいと思います。
まず11月19日に行われたウェールズ戦は、ジョイミー・ジョセフHC率いる新生日本代表にとって、収穫の多い試合となりました。30-33で惜しくも敗れましたが、ティア1の強豪を追い詰めることができたのは、かなり前向きな材料だと言えます。
同様に前向きだったのは、アルゼンチン戦やジョージア戦で明らかになった問題が、少しずつ改善していることです。たとえばアルゼンチン戦やジョージア戦では、ディフェンスの組織が十分に機能していませんでしたし、ラインアウトやスクラムといったセットプレーでも、後手に回る部分が目立ちました。
しかしウェールズ戦では、ラインアウトのプレーが改善され、キックもより効果的に使えるようになっています。このような変化は、ジョージア戦の流れを受けたものだといえるでしょう。ジョージア戦ではスクラムでかなり押し込まれましたが、後半はキックをより有効に使いながら、試合全体をコントロールすることに成功しているからです。
組織が機能しなくなると、フィジカルの差が出る。
同じことは、守備についても指摘できます。
現在の日本代表は、ワイドに開いた選手が早いタイミングで相手を止めるディフェンスに取り組んでいますが、ウェールズ戦では、よりスムーズに守備を展開できるようになりました。これもまた、ジョージア戦の流れを受けた改善点でした。
とはいえウェールズ戦に関しても、もちろん反省点はありました。
現在の日本代表は、チーム全体が組織的に機能している時には、個で上回る相手にもある程度対抗できます。しかし組織的なプレーが展開できなくなると、フィジカルの差が試合結果にダイレクトに反映されてしまいます。
それが顕著に現れたのが、11月26日に行われたテストマッチの最終戦、フィジーとの試合でした。