Number ExBACK NUMBER
リーチ マイケル、待望の再点火。
飽くなき向上心とJAPANへの思い。
posted2016/12/02 17:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Koichiro Matsui
11月、ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ体制でのラグビー日本代表が、テストマッチ4連戦に臨んだ。
ジョージアに勝利を挙げたが、結果としては1勝3敗。数字だけ見れば苦戦ともとれるが、日を追うごとに新戦術を身につけ、強豪ウェールズ相手に30-30と同点に追いつく健闘を見せた。戦前は準備不足を指摘されていたが、2019年に向けて、大いなる可能性をラグビーファンに示した、といっていいだろう。
しかし、今回の代表メンバーの中には、昨年のW杯でキャプテンを務めたリーチ マイケルの名前がなかった。
ADVERTISEMENT
南アフリカ戦後半、最終盤の「決断」。
29-32で迎えた後半40分、エディー・ジョーンズヘッドコーチからは同点を狙って「ショット」の指示が出たが、キャプテンだったリーチは、その指示に従わない。
「スクラム」を選択し、見事トライを決め、ジャイアントキリングを果たした。彼の勇気ある決断がなければ、ラグビー史上に残る番狂わせは、起きなかった。
実力的にも精神的にも、日本に不可欠と思われるリーチは、なぜ代表入りを辞退したのか。本人に話を聞くために、東芝ブレイブルーパスのクラブハウスを訪ねた。
茶目っ気のあるサービスに、緊張がほぐれる。
ジョージア戦の2日後、11月14日。
東芝クラブハウスの入口で待機していると、ロッカールームからトレーニングルームに向かうリーチが通りかかった。
こちらの挨拶に、「コンチハ!」とハキハキとした流暢な日本語で応じてくれた。
それから、彼はエントランスの隅にある、ラグビーボールが山盛りになった箱に手を伸ばした。
てっぺんにあった1球の端をつまみ、クルリと角度を変える。そして何も言わずにトレーニングルームに入っていった。
なにかと思い近づいてみると、それは、英語名の下にカタカナで「リーチ」と書かれたサインボールだった。
おそらく、今日のインタビューの相手だとわかって、見せてくれたのだろう。茶目っ気のあるサービスに、こちらの緊張も一気にほぐれた。