福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史が分析するイラク&豪州戦。
清武&原口の可能性と、天敵ケーヒル。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/10/11 10:30
トップ下として原口の先制点を導き出した清武弘嗣。岡崎らとのコンビネーションに磨きがかかれば、確実に日本の中軸を担う選手になれる。
岡崎と近い距離感を取ることが、分厚い攻撃を生む。
彼ら2列目や攻撃面で課題があるとすれば、1トップの岡崎との関係性でしょうか。ハリルホジッチ監督は現在1トップを採用しています。その中で岡崎はポストプレーで粘りを見せると同時に、持ち味である最終ライン裏への抜け出しを見せる場面もありました。
ただ岡崎が抜けたとしても、その後には相手センターバック2人に囲まれてしまう。フィニッシュまで持ち込めないので、岡崎はキープを選択します。そこで2列目の選手が近い距離感でサポートできなくて、厚みのある攻撃を仕掛けられなかった。そこが相手を押し込み続ける形にならなかった理由の1つだと感じます。
イラク戦で勝ち点3を獲るという目標を達成したことは良かったですし、選手それぞれが頑張りを見せたと思います。ただ、チーム全体としての完成度はまだまだと感じます。この状態では最終予選も苦しむ試合が続きそうですし、予選突破が決まっても強豪国と戦って勝利できるのか、という点ではまだ厳しいというのが正直なところです。
豪州はかつての“フィジカルごり押し”ではない。
<日本は予選突破を目指すと同時に、世界と伍していくためのチーム作りも並行して進めなければならない。その試金石となるのは次戦、11日に行われる敵地オーストラリア戦である。グループ最強と目される相手の進化、そして日本にとっての永遠の“天敵”についても触れている。>
'15年アジアカップを制覇したオーストラリアは、以前のフィジカルを前面に押し出したスタイルから変貌を遂げています。簡単に言うと、日本のスタイルに似てきている。レッキー、クルーズ、ロジッチ、ルオンゴらといった攻撃的な選手が激しくポジションチェンジしてきて縦のスピードやテクニックを生かすのが強みになっています。
そして中盤の深い位置で攻守のバランスを取るミリガンらも健在ですが、ベテラン勢ではやはりケーヒルが気をつけたい存在であることは確かです。