福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史が分析するイラク&豪州戦。
清武&原口の可能性と、天敵ケーヒル。
posted2016/10/11 10:30
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
Takuya Sugiyama
2012年2月から4年7カ月にわたり「メルマガNumber」にて配信してきたメールマガジン「福西崇史の『考えるサッカー』」。今月から不定期でNumberWebで連載をスタートする。
ロシア・ワールドカップアジア最終予選を戦う日本代表の戦いぶりをはじめ、日本サッカー界のビッグマッチ、トピックスを“一段階深く”考えていく。
第1回は、後半アディショナルタイムの劇的なゴールで勝ち点3を確保したイラク戦のプレーバック、そして11日に迫る敵地オーストラリア戦の展望について聞いた。まずは山口蛍の劇的な決勝ゴールについて――。
ロシア・ワールドカップアジア最終予選を戦う日本代表の戦いぶりをはじめ、日本サッカー界のビッグマッチ、トピックスを“一段階深く”考えていく。
第1回は、後半アディショナルタイムの劇的なゴールで勝ち点3を確保したイラク戦のプレーバック、そして11日に迫る敵地オーストラリア戦の展望について聞いた。まずは山口蛍の劇的な決勝ゴールについて――。
まず今回の試合で大前提だったのは「勝ち点3を確保すること」でした。そういった意味で日本代表は最低限の結果を残した。そこは評価すべきポイントだと思います。
山口蛍の決勝点で思い出したのは、僕が日本代表として戦ったドイツW杯最終予選・北朝鮮戦です。あの試合は早い時間帯に小笠原(満男)の直接FKで先制点を奪って押し気味に試合を進めましたが、後半に入って同点に追いつかれる展開でした。後半終了間際に相手GKがパンチングしたボールが自分のところにこぼれて、その落としを大黒(将志)が決めて勝ち切れた。今思えば第2戦の敵地イラン戦を落としている(1-2)ので、この勝利がなければもっと苦しい戦いとなっていたかもしれません。
メンタル的な疲れを吹き飛ばして次戦に挑める。
それは今、最終予選を戦っている日本代表にも同じことが言えます。特に初戦のUAE戦を逆転負けし、勝ち点を落としている。プレーヤー視点に立つと、ホームで約6万人の声援を受けて戦えることは確実に大きな力になります。その一方で期待に応えようと堅くなってしまい、普段のパフォーマンスよりも力んでしまう一面があることも確かです。
もしホーム2試合目のイラク戦でまた勝利を逃したとしたら、今後のホーム戦で良くないイメージを持ってしまいかねないところでした。それだけに劇的な展開で試合を締められたことで、選手たちはポジティブな気持ちで次戦へと向かうことができる。メンタル的な疲れを多少なりとも吹き飛ばして次戦に挑めるのは、チーム全体に好影響を与えるはずです。