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再び“下克上”のキーマンになれるか?
ロッテ清田育宏がCSで期待できる理由。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/10/07 12:50
昨年は打率リーグ4位、ベストナインなど躍進の年だったが、今年は9月に頭部死球を受けて緊急搬送されるなど、アクシデントも続いた。
昨年からほぼ半減していた、清田の成績。
ここで昨年と今年の成績を比較したい。
2015年 130試合 489打数155安打 打率・317、本塁打15、打点67
2016年 106試合 365打数82安打 打率・225、本塁打6、打点38
安打数、本塁打数、打点数はほぼ半数に落ち込むなど極度な不振に陥った。
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今季の目標として「100打点」を掲げていた清田にしてみれば、さぞかし悔しい想いだっただろう。
そんなレギュラーシーズンを彼はこう振り返る。
「自分ではこうやってやれば打てると思って打席に入るんですけど、それが打席では出来ないし、それをどうやったら出来るんだろうと考えるんですけど、練習では出来ても、試合になるとまた元に戻ってしまう。それの繰り返し。色んなことを試しても全然上手くいかないし、凄く勉強になった1年でした」
不調の選手がいたら声をかけ、励ます清田。
それでも清田はこの1年間、前を向き続けた。傍で見ていて、これほど彼の人間力を感じた1年はなかったように思う。
たとえばチームメイトの細谷圭が言うにはこうだ。
「キヨさんは打てなくてもベンチでずっと声出しをしていて……。チャンスで打てなかったときとかは特にそうですが、キヨさんは、その10秒後には声を出している。そこが凄いところですよね。本来ならそういうとき、誰でもみんな悔しくて、ベンチに帰ってすぐに声を出せるかと言ったら一瞬、戸惑っちゃうもんなんですよ。それでも空元気で良いから出していかないと余計におかしくなる。そう考えていたと思うんです」
さらに、悩んでいそうなチームメイトがいたら積極的に声をかけてムードメーカーに徹した。
「でも、キヨさんは、『そこは人それぞれ』だって言うんですよ。『俺はこうしたいからしているだけで、(細谷)圭はどうか分からないけど、それがいい方向に出る人もいるし、逆に空回りするかもしれない。だから自分なりの切り替えをした方がいいよ』と言ってくれたんです」