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再び“下克上”のキーマンになれるか?
ロッテ清田育宏がCSで期待できる理由。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/10/07 12:50
昨年は打率リーグ4位、ベストナインなど躍進の年だったが、今年は9月に頭部死球を受けて緊急搬送されるなど、アクシデントも続いた。
若手を触発した、清田が野球に取り組む姿勢。
その清田のアドバイスの甲斐があってなのか、細谷はプロ11年目にして初めて1年間を一軍で過ごし、初の年間100安打突破(最終的に102安打)を記録した。その活躍はまるで昨年の清田の姿を見ているようだった。細谷にとどまらず、これまで一、二軍を行き来していた複数の選手が清田のマインドに触れて、少ないチャンスを掴んだり何らかのヒントを得ている。
試合で結果が出ないのであれば、今の自分がやれることを探す。
そうやって1年間を過ごしてきた清田の引き出しの中には、必ず昨年以上のモノが詰まっている。そう感じずにはいられない。
数字は低迷したものの、これも彼の成長の証。
だからこそ言いたい。2016年千葉ロッテのCS突破のカギは清田育宏が握っていると……。
対ソフトバンクには強い!? 特にヤフオクドームで。
最後に気になるデータを1つ紹介したい。
今季はシーズン通して打撃が奮わなかった清田だが、対福岡ソフトバンク戦になると打率.250、本塁打2本と良化する。さらにヤフオクドーム限定だと、打率は.297まで跳ね上がる。前述の本塁打2も、実はこの球場で記録しているものだ。
「(自分では)打っているイメージは全くないです。どちらかというとソフトバンクのピッチャーは嫌です(笑)。でもCSになったらピッチャーも緊張して、今までと違ったりもするんで、たぶん初戦は千賀(滉大)か武田(翔太)のどちらかだと思うんですけど、それはそれで倒せるチャンスはいっぱいあると思います」
2010年の「下剋上」ではその中心にいた清田。
彼は再び旋風を巻き起こせるか。
レギュラーシーズン最終戦が終わった10月5日の夜、幕張の風は強く吹いていた。