話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
過去最高の費用と時間をかけたU-19。
小川航基は東京五輪の主役になるか。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/09/30 07:00
桐光学園時代から世代一のストライカーとしてその名を轟かせていた小川航基。183cmという恵まれた体格も期待値を上げている。
この世代も、リオ世代のように大人しい。
チームのキャプテンは坂井だが、本当の意味でのリーダーがいない。他の選手から認められ、一目置かれるようなタイプがいないのだ。また、今時の選手の気質なのだろうが、おとなしい選手が多い。日体大戦も、ピッチに響いていたのは内山篤監督の声だけ。ピッチからはほとんど声が聞こえてこなかった。
おとなしいままアジアを制したリオ世代の例もあるが、気持ちを前面に出したり、言葉に出してプレーすることは特に劣勢時には重要なことだ。
精神面以外の課題も少なくない。
日体大戦では途中から守備のブロックを敷いて守っていたが、簡単に失点してしまった。中東勢のカウンターやスピードは大学生の比ではない。彼らを封じ込めて大会で勝つためには、守備力がポイントになってくる。ブラジルを始め世界の強豪国は、どこも守備に力を入れている。攻撃に比べてやや脆弱な守備を、初戦までにどう整備していくかは極めて重要な課題だろう。
中東から点を取るには、この3人の爆発が必要。
また、小川は堂安や三好、岩崎ら攻撃の選手との連係を深めていく必要がある。チームは2トップ体制で、今年は堂安と組むことが増えた。4月の静岡合宿では前半2トップでプレーし、後半はともにベンチに一緒に座り、試合を見ながらお互いの考えを擦り合わせた。堂安は「連係は悪くないけどオレは足元、小川くんは裏狙いでバラバラだったんで、細かいところを突き詰めていかないと」と今後の課題を口にしていたが、あれから5カ月が経過した今もまだ十分ではない。
この2トップ、それに好調な三好が爆発しない限り、守備が堅い中東勢からゴールを奪うのは難しい。3日からの合宿でコミュニケーションとコンビネーションをどれだけ詰めていけるかが重要になる。