“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
アジアは日本を特別視してない――。
“久保世代”U-16指揮官が語る実状。
posted2016/09/16 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
AFLO
たかが16歳以下――。
もしかすると、そう思っている人も居るかもしれない。9月15日からインドで開幕するAFC U-16選手権。来年のU-17W杯(インド)の出場権を懸けた、いわゆるアジア最終予選だ。
現在、A代表がロシアW杯のアジア最終予選を戦っている最中だ。初戦でUAEに敗れたことで、W杯行きが危ぶまれる声も挙がり、サッカーファンは大きな危機感を覚えているだろう。
では、その危機感はA代表に関わったことのみだろうか。UAE戦を振り返ってみて欲しい。あの敗戦で挙がったのは、日本の課題だけでなく、「アジアのレベルが向上している」という声だ。これは日本が危機感を持つべきポイントの一つで、アジアのレベルは間違いなく上がっている。では、どの国もA代表だけがいきなり強くなったりしているのだろうか。
答えはノーだ。UAEやウズベキスタン、イラク、イランなど、近年目覚ましく力を付けて来た国は、いずれも育成から強化に乗り出している。特にUAE、ウズベキスタンは育成に力を入れ、海外から育成のエキスパートを招いたり、強化プランを打ち出して、本腰を入れて取り組んでいる。
イラク、ウズベキスタンがW杯で結果を残している。
だからこそ、育成年代において、日本がU-17W杯、U-20W杯のアジア最終予選となるAFC U-16選手権、AFC U-19選手権を突破出来ず、世界を逃している(U-16日本代表は前回大会で4大会続いていたU-17W杯出場を逃し、U-19日本代表に至っては、4大会連続でU-20W杯出場を逃し続けている)。その一方で、日本が出場しなかったU-20W杯において、2009年のUAEがベスト8進出したのを皮切りに、2013年のトルコ大会ではイラクが4位、2015年にはウズベキスタンがベスト8と着実に経験を積んで行った。
「若い選手個々が地道に一段一段、階段を上ることも大事ですが、やっぱり一足飛びに成長するためにも、年代別W杯に出場をすることは凄く大きな経験だと思います。厳しい経験をすることが、次の五輪やW杯の大舞台で、落ち着ける気持ちが生まれる。A代表が戦ったUAEの選手たちには、U-20W杯でベスト8に入った世代がいる。何人かの選手たちは“俺、全然怖くないぞ”と日本相手にも堂々と臆すること無く戦っていた。そこは凄く大きく違うと思う」