サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
UAE戦、最大の敗因は“誤審”なのか。
リオ五輪卓球監督の言葉から考える。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/09/02 11:20
「なぜこの選手を選んだのか、自分でも疑問に思っています。しかし、他に良い選手がいなかったのが理由です。責任はすべて代表監督にある」(試合後のハリルホジッチ監督のコメント)
中東の審判団の“笛の傾向”は分かっていたはず。
明らかな誤審があった。選手が主審に怒り、サポーターがブーイングを浴びせるのは仕方ない。ただ、村上監督の言うとおりミスジャッジはサッカーでも「しょっちゅうある」。いくら怒っても、抗議しても、ゴールラインテクノロジーも追加副審もいない状況で、判定は覆らない。
特に中東の主審は中東のチームに有利な笛を吹きやすい。これは過去のW杯予選やアジアカップでも散々経験して分かっていたはずだ。ならば判定に怒り続けるよりは、不可解な判定の中でも対応できることがなかったかを、検証すべきだろう。
例えば同点ゴールを許したFKの場面。アハメド・ハリルのシュートは、GK西川周作の手に当たってゴールネットを揺らした。
「ちょっと重心が右に、壁側のサイドに動いていた分、ボールに力が伝わらなかった」
西川本人が反省したように、アハメド・ハリルが蹴る直前、右に1歩動いたことで、左側に飛んできたボールに対応しきれなかった。相手の癖を完全に見抜いていたならば話は別だが、ゴール正面からのFKで、壁によってキッカーのフォームが見えない状況でヤマを張って動く必要はなかった。
“外に追い込む”対応ができなかった結果が、PKに。
例えばPKを与えた52分のシーンはどうか。
「3対1の状況でボールを奪いに行っていた。3対1であのボールを外に出せないのが、われわれの実力だ」
ハリルホジッチ監督が言うとおり、この場面ではボールを持つイスマイール・アルハマディを、大島、香川真司、酒井宏樹の3人で囲んでいた。一度は大島がボールを奪いかけているにも関わらず、クリアしきれなかった。さらに言えば、あの状況で足を出すのは軽率すぎた。主審の笛がわずかな接触で鳴る可能性は、前半で分かっていたはずだから、まずは相手選手をペナルティーエリア外に追い込む対応をすべきだった。大島の足は相手に掛かっており、厳しくはあるが、妥当なジャッジだ。