“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-16代表を鍛える“森山イズム”。
世界で戦うための育成法とは?
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2016/06/21 17:30
インターナショナルドリームカップに臨むU-16日本代表。後列の右から2番目が中村敬斗、前列1番右が久保建英。
“敢えて”の環境でのトレーニング。
昨年、U-15日本代表としてインドネシア遠征に行った際は、スコールに見舞われるなど、荒れたピッチで試合を行うこととなった。
「スコールが降ってピッチがグチャグチャになると、まともにプレーできなくなる選手が非常に多かった。呼んだ選手23人中、厳しいピッチ条件の中でも普段通りのプレーができたのは4~5人だけ。それでは少なすぎる。その人数をもっともっと増やしていかないと、アジア予選は到底勝ち抜けない」(森山監督)
広島ユース時代も、人工芝ピッチだけでなく、週に数回は敢えて土のピッチでトレーニングをしていた森山監督。年代別代表監督に就任しても、そんな“敢えて”の環境をさらに求め続けた。
年齢的にも体力的にも格上の、高校サッカー界きってのハイプレッシャーなサッカーを展開する市立船橋や流通経済大柏のレギュラーと練習試合の機会を作った。
結成当初からは見違えるほど逞しくなった選手たち。
今年の2月に行われた静岡合宿では、当日に暴風雨が吹き荒れ、天然芝のピッチがぬかるみ、他の試合が中止になる中で、「これぞ求めていた環境。ここでやれなきゃ意味が無いし、本当に戦える選手を見極める絶好の機会」と、そのまま2試合を敢行した。
こうした森山監督のアプローチは、選手たちにも微妙な変化をもたらしている。
U-16日本代表の選手たちは、結成当初から見違えるほど逞しくなり、アジアのライバル国に対しても非常に怖い選手になろうとしているのだ。
そんな彼らが、「インターナショナルドリームカップ2016」に出場すべく、鳥取に集結した。
6月22日から26日に掛けて、鳥取市営サッカー場・バードスタジアムでU-16ハンガリー代表、U-16マリ代表、U-16メキシコ代表など、各大陸の強豪国と対戦。9月のAFC U-16選手権に向けて、重要な強化の大会という位置づけである。