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巨人の4番ギャレットは「我慢」の男。
外角の変化球を見送る急適応ぶり。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/04/01 11:50

巨人の4番ギャレットは「我慢」の男。外角の変化球を見送る急適応ぶり。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

ギャレットは3月30日のDeNA戦で3試合連続のホームランを放った。

ジョーンズへの決め球は外の変化球。

 開幕3戦目のヤクルト戦(東京ドーム)で1点を勝ち越された直後の8回に、秋吉亮投手の甘く入ったストレートを右翼席上段に運ぶ逆転1号。さらに3月29日のDeNA戦(横浜)でも右翼ポール際に、翌30日の同カードでもギジェルモ・モスコーソ投手の高めのチェンジアップを右翼席に3戦連発と大当たりを見せているのだ。

 活躍のカギとなる打席があった。

 3月25日、開幕のヤクルト戦だ。

 第1打席ではヤクルト先発の右腕・小川泰弘投手の、インサイドのストレートを打って右飛に倒れた。そして迎えた第2打席である。

 初球は内角のボールを見送り、2球目の外角に流れながら落ちるフォークにフルスイングして見事な空振りをした。

 この外角に落ちるフォークやシンカー、ツーシーム系の球、左投手ならスライダー系の球種が、おそらくギャレット攻略で相手バッテリーが軸とするボールである。インハイのストレートや膝下のスライダー(左投手ならシンカー)を対にして、最終的にはこの外角のボール球を振らせて仕留めるというのが基本的な攻め方になる。

 と、いうことはこの球をブリブリと振り回している限り、ギャレットの日本での成功はない、と断言できる。

 だからこの打席で豪快な空振りを見た瞬間は、非常に悲観的な光景に見えたわけである。

一瞬で同じフォークにバットが止まるように。

 ただ、次の瞬間に考え方は変わった。

 ヤクルトバッテリーが2球目のまったくノーカンな空振りを見て「ここが見えていない」と考えるのは当然だった。そこで続けて3球、同じところにフォークを投げて空振りを取ろうとした。ところがギャレットはその誘いにまったく乗らずにバットを止めたのである。

 その結果、この打席は四球を選んで一塁に出塁。結果的には左飛に倒れた第3打席でも、外角フォークには手を出さず、我慢ができていた。

【次ページ】 変化球中心の日本では、引き付けて打つことが必要。

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