プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人の4番ギャレットは「我慢」の男。
外角の変化球を見送る急適応ぶり。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/04/01 11:50
ギャレットは3月30日のDeNA戦で3試合連続のホームランを放った。
変化球中心の日本では、引き付けて打つことが必要。
「学習能力と修正能力が高いことが彼の特長ですね」
こう語るのは内田順三打撃コーチだった。
スイング自体は、来日直後にステップと同時に体が前に突っ込むクセと、バットがやや下からアッパー気味に出る点が指摘されていた。
メジャーの速いストレートに対応するためにそういう形になったのだが、変化球中心の日本では、ボールを呼び込んでレベルか、やや上から叩くことが必須となる。その点はすでに日本で2年間プレーしてきた同僚のルイス・クルーズ内野手から教わり、キャンプの打撃練習では緩いカーブマシンをしっかり溜めて打つ練習にも取り組んできた。
「今も打撃練習では、ポイントを近づけて逆方向に打てと言って、彼もその通りにやっている。元々ステップのときに前に出るのも、外国人特有のガンと強くいく感じではなかったですからね。どちらかというと柔らかい感じだったから、うまく修正できた面はありますね」
こう同コーチは指摘する。
フリースインガーからボールを見極める打者に。
この修正能力の高さを支えているのが、研究熱心で学習能力が高い点だろう。
もともとメジャーでは早いカウントからガンガンと打っていくフリースインガーだったが、ボール球を軸に組み立てる日本の配球に合わせて、じっくりボールを見ることを学習した。
「オープン戦が調整段階だとすると、今は修正段階。もちろん打てる球があればどんどん振っていくけど、ボールを見極めていくことも考えている。1打席ごとに(データは)蓄積されていく。今日は最初の打席でスライダーを見たことがホームランにつながった」
3月29日のDeNA戦(横浜)で2戦連発の2号2ランを放ったときのギャレットのコメントだ。
開幕戦で見た小川のフォークで学習し、日本の投手の誘いに乗らないペイシェンスを学んだ。それがこの選手の好スタートの最大の理由だった。