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引退後はブンデスでフロント入り?
長谷部がドイツで評価される理由。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2016/01/16 10:30

引退後はブンデスでフロント入り?長谷部がドイツで評価される理由。<Number Web> photograph by AFLO

ドイツ語が堪能な長谷部はフェー監督から頻繁に指示を受ける。

長谷部が心がけているコミュニケーション。

「言葉は本当に大事だと思いますね。ドイツ語の力がなかったらブルーノさんがそういう考えになることもなかったでしょう」

 ただし、あくまでドイツ語は前提条件だ。コミュニケーションにおいて、いったいどんなことを心がけているのだろう。

 長谷部があげたのは、インタビューのちょっとした受け答えの工夫だった。

「インタビューではドイツの文化を考慮したうえで、そこに自分の思いを重ね合わせてしゃべるようにしている。受け取られ方のニュアンスが、国によって違うからです。たとえば、ドイツ語にSelbstkritik(自己批判)という言葉があります。まわりを批判するのではなく、自分自身への批判をすると、チームからも記者からも受け入れられるんですね。ただ、自己批判が深くなり過ぎるのは良くないので、バランス感覚も必要。他の選手のインタビューを見て、ドイツではどんな姿勢や発言が受け入れられるかをずっと考えてきました」

「真面目さ」の追求。

 中心選手であるため、試合後には現地中継のカメラの前に立つことが多い。そのときにも意識していることがある。

「試合後はファンへのメッセージを意識するし、あとは自分たちの良くなかったことをしっかり言いながら、次の試合に向けてポジティブな方向に持って行く。ネガティブに言いすぎるのは、ドイツでは良くないインタビューと見なされます」

 次にあげたのが、「真面目さ」の追求だ。

「僕はとにかく真面目にやっていますね(笑)。真面目に丁寧に接している気がします。僕の経験上、日本人が海外に出ると、ついいい加減になってしまうところがあると思う。それを自分の中で、いかに細部まで詰められるかも能力のひとつ。チームメイトとの会話も、なあなあですませるのではなく、話すべきときは本気で向き合わなければいけない。練習態度にしても、日本代表と所属クラブで違っているようではダメです。誰しも面倒なことからは逃げたいですが、どこに行っても同じことができれば、自ずと信頼を得られると思います」

 引退後、ドイツのクラブで監督になることを目指すのか、もしくはフロントとして欧州の舞台で挑戦を続けるのか。いずれにしても日本サッカー界にとって新たな道を切り開いてくれるに違いない。

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