プレミアリーグの時間BACK NUMBER
今冬の移籍はプレミア史上最高額!?
バーディー、ベイル、そして武藤嘉紀。
posted2016/01/15 10:50
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
AFLO
年が明け、冬の移籍市場も開幕した。チームの目標が優勝であれ残留であれ、今冬も単価が数億円を下らない移籍金がプレミアリーグ勢によって市場に投じられる。
「通年で選手を獲得できた昔は良かった」が口癖で、特にシーズン半ばの市場には否定的だったアーセン・ベンゲル監督でさえ、「プレミア過去最盛況の冬」を予想している。
上昇の一途を辿るテレビ放映権収入のおかげで、新契約が始まる来季のプレミア勢は最下位でも現状5割強増しの9900万ポンド(約180億円)の分配金を得る。購買意欲が湧くわけだ。ベンゲル率いるアーセナルは12年ぶりのリーグ優勝に向けて、前半戦で故障者が重なったセンターハーフの補強が最優先課題。噂されたバーゼルのモハメド・エルネニーは、すでに移籍金740万ポンド(約14億円)で獲得した。
だが、冬の人気商品と言えばストライカーだ。冬の市場で過去最高の総額2億3500万ポンド(約423億円)を記録した5年前にしても、移籍金5000万ポンド(約90億円)でチェルシーが購入したフェルナンド・トーレス(現A・マドリー)がいた。後半戦で競争相手を振り切るためのブースターとして、引き分けを勝利に変えるゴールゲッターが欲しくなるのだろう。
レスターはバーディーの死守が最優先課題。
特に今季は、「接戦」と言えば聞こえは良いが、見方を変えれば「誰も優勝したがっていない」とも言われるように、開幕前の優勝候補が揃って本調子ではない状態。カンフル剤としても、ゴールを決めてチームとファンの士気を高めるストライカーが求められる。
逆に予想に反して首位を争っているレスターでは、ジェイミー・バーディーの流出阻止が今冬の重要課題だ。前半戦19試合で15得点のイングランド代表FWには、下位低迷中のチェルシー、試合内容が上向かないマンチェスター・ユナイテッド、国産タレントに目がないマンチェスター・シティが興味を示している。
前半戦で「優勝候補」と言われるようになったトッテナムは、バーディーのレスター以上にハリー・ケインへの依存度が高い。22歳のエースが背負う得点源としてのプレッシャーを軽減すべく、昨夏に失敗したサイード・ベラヒノ獲得に再び乗り出すはずだ。
当のベライノは昨夏の移籍志願を経てトニー・ピューリス監督にベンチで干されている状態。今回は2500万ポンド(約45億円)前後で売ってもらえるかもしれない。