サムライブルーの原材料BACK NUMBER
原口元気が語る「感性と考えと体」。
欧州で戦う土台は出来た、後は――。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byMiki Fukano
posted2016/01/06 10:40
顔の造作はもちろん変わっていない。しかし柔らかい表情には明らかに自信と落ち着きを湛えている。
プレー中は感性、しかし試合前は考える。
原口はこう振り返る。
「ああいうプレーは理想ですね。ドイツに行って一番感じたのが、相手が最後のところで凄く体を張ってくるということ。あの切り返しは冷静に、最後のところでやれました。ただ、あれ以降継続できていないのが悔しい部分ではあるんですけど……」
最後をやらせようとしない相手と対峙した際、いかにしてシュートまで持ち込んでいくか。そのイメージを働かせ、実体験で相手とやりあってきたからこそあのゴールに結びついた。
「プレー中は感性の部分が大きいとは思います。ですけど、試合の意識づけというか、(ゴール前に)入っていくまでにこういう動きを増やそうとか、こういう相手だからこういう動きが嫌なのかなとか、もちろん考えて試合には入っています」
持ち味であるドリブルも、ボールを受ける位置に注意している。「いいところで受けないとつぶされてしまう」からだ。
「ただ、(受ける位置は)まだまだ足りない。浦和でも足元で受けて出ていくというのが体に染みついて取れない部分があるので。真司くん(香川)、キヨくん(清武)は常に相手の嫌なところでボールを受けているからこそ、もっと決定的な仕事を僕よりも多くやっている。そういう意味ではもっと最初にいい位置で受けたいというのはあります」
90分走り、闘うためのフィジカルもできてきた。
考え抜くことで、プレーの一つひとつに磨きを掛けてきた。
同時に、フィジカルも随分とたくましくなった印象が強い。90分走り切る、スプリントする、闘う。考えたことを実践に活かしていくために、ハードなトレーニングを己に課してきた。
「向こうの厳しいトレーニングをやるだけじゃなく、自分のプランに沿ったトレーニングも継続的にやっていますから。(日本では)あまりやらなかった上半身を、鍛えたりもしています。やっと1年目より2年目のほうが、球際とか、競り合ったときに自分のボールにするというのは増えてきたかなと思います。(トレーニングは)キツイですよ、正直。でも継続的にしっかりやってきました。
走る部分でも、サイドの選手は走らないといけない。スプリントの数もそう。スプリントしてからの精度は課題ではあるんですけど、間違いなく進歩していると思います」