サムライブルーの原材料BACK NUMBER
原口元気が語る「感性と考えと体」。
欧州で戦う土台は出来た、後は――。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byMiki Fukano
posted2016/01/06 10:40
顔の造作はもちろん変わっていない。しかし柔らかい表情には明らかに自信と落ち着きを湛えている。
原口「ブレたことはありません」
ドイツ1年目の昨季、前半戦は出場機会に恵まれなかった。だが順応期間と捉え、考えること、察知することによって彼は終盤に先発のチャンスをつかんでいった。
「ブレたことはありません。苦しいときはありましたし、俺、何をやってんだって思ったこともあります。それでも自分のやるべきことをやめたことはありません。しんどいなって思っても、一度もない。一気にポーンと行くのもいいですけど、僕の場合はちょっとずつのぼっていければいいと思っているので」
五角形のチャートにするなら、原口はプレーで、フィジカルですべてのレベルを全体的に上げてきたという自負がある。すぐに結果が求められる厳しい欧州の舞台。彼は自分を信じ、自分の考えを信じた。信じ切った。
ハリルに言われた「フォワードっぽくない」。
6月からはハリルジャパンに招集されると、常連メンバーとなっている。ヘルタではサイドの役割を担っているが、代表ではトップ下、ボランチと中央のポジションも試されている。それもこれもあらゆるレベルを上げていることで、ヴァイッド・ハリルホジッチはサイド以外の適性も見ようとしているのがうかがえる。
原口は言う。
「監督にはトップ下とか、少し低い位置でプレーするほうが向いているんじゃないかと何度か言われました。フォワードっぽくはない、と。結構、そこは意外だったんですけど、違う能力を評価してもらっているのはプラスに考えています。ヘルタでは今、4-4-2のサイドで、攻撃的なポジションでフィニッシュもチャンスメークもする。守備もしっかりやる。
自分のなかではサイドが合っているのかなとは思いますけど、(代表では)チャンスをもらえるのであればどこでもチャレンジしたい。サイドバックとボランチはちょっと難しいとは思うので、できれば前のほうで勝負したい。だから前で出ることができるようなプレーを示していきたい」