サムライブルーの原材料BACK NUMBER
原口元気が語る「感性と考えと体」。
欧州で戦う土台は出来た、後は――。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byMiki Fukano
posted2016/01/06 10:40
顔の造作はもちろん変わっていない。しかし柔らかい表情には明らかに自信と落ち着きを湛えている。
土台はできた。あとは飛び抜けた武器を。
中断前、最後の試合となったマインツ戦は原口の魅力が詰まっていた。
運動量、スプリントの数、守備の迫力、ドリブル突破、チャンスメーク……。彼は90分間、相手にとって危険かつ嫌な存在であり続けた。終盤、イビセビッチに決定的なクロスを2度送り(1本はオフサイドの判定だったが)、ドリブルからペナルティーエリアに入ってシュートに持ち込もうとしている(GKと接触して打てず)。最後の精度は課題だとしても、進化した彼の現在地をはっきりと示していた。
11月、バイエルン・ミュンヘンに力負けした後、彼はタッチ集の映像を見て「何がいけなかったのか」考える作業に充てている。地道なトライ&エラーの作業は今もなお、原口の成長を促している。
原口にとっての2016年とは。
「土台はできたかな、と思います。ある程度どの要素も平均的に整ってきて、そこからどこかの分野で飛び抜けていけるかどうか。どういった武器を持てるかどうか。バイエルンの選手もドルトムントの選手も、そういう部分がある。いずれは上のクラブに行きたいという目標もあります。そういう武器がないと注目もされないと思うので。プラスアルファをつくる年にしたいですね。どの部分を伸ばしていくかは、自分のなかにはあります」
彼はそう言葉に力をこめ、目をこちらに真っ直ぐ向けた。
考えて、考える。
原口元気はゆっくりとそして確実に、目指す姿に、目標に近づいていく。