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レスリング、ボクシング、そして相撲。
増量か減量か、2つの強くなる方法。
text by
増田晶文Masafumi Masuda
photograph byAFLO
posted2015/12/28 10:40
スーパーバンタム級の頃のパッキャオ。最終的には、デラホーヤと並ぶ6階級制覇を果たした。
白鵬の体脂肪率は29%、日馬富士は23%
相撲に関してはおもしろいデータがある。
慶應義塾大学スポーツ医学研究センターが行った、幕内力士25名の体脂肪率測定では平均32.5%の結果がでた。横綱白鵬が29%´日馬富士は23%といずれも平均以下の“スマート”さだった。
ただ白鵬は身長192cmで体重155kg。ここに彼の体脂肪率をあてはめると、実に46kg近い脂肪を有していることになる。ボクシングならミニマム級の選手ひとり分!
かつて力士たちに取材し、筋肉談義に花を咲かせたり、身体をムギュムギュとつかんだりした経験からいうと――彼らは肩や腕、脚のみならず、でっぷり突き出た腹部ですら固太りしていた。これでぶつかられたら、そりゃ凄まじいダメージだろう。
「だけど引退すると不思議に“肉”は柔らかくなるそうなんですよね。で、肉が柔らかくなると体重も減っていくみたいです」
とは、ある幕内力士の証言だ。
力士生活の間は身体が鎧化する? 蛇足ながら、彼のいう“肉”とは筋肉&脂肪に皮膚をも加えたシロモノだとご理解いただきたい。
削っていくか、メガ盛りするか。
ボクサーのように体重を削っていくか、それとも力士のようにメガ盛りしていくか。
あなたはどっちを選びます?
体重を減らす、増やす、維持する――いずれも生活習慣とトレ、努力に加えて才能や資質が必要。まさにトップアスリートは選ばれし勇者。われわれ一般ピープルは、充実した今日があり、明日もしあわせの予感がするなら、やたらと体重をいじる必要はあるまいと思うのだがどうだろう。