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レスリング、ボクシング、そして相撲。
増量か減量か、2つの強くなる方法。 

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増田晶文

増田晶文Masafumi Masuda

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photograph byAFLO

posted2015/12/28 10:40

レスリング、ボクシング、そして相撲。増量か減量か、2つの強くなる方法。<Number Web> photograph by AFLO

スーパーバンタム級の頃のパッキャオ。最終的には、デラホーヤと並ぶ6階級制覇を果たした。

骨格が変えられない以上、ベスト体重は存在する。

 このガリヒョロ青年は得意満面であった。しかし! 現実というのは、それほどシンプルじゃない。骨格が変えられない以上、アスリートにはベスト体重というモンが存在する。

 だからこそ、ボクサーたちはあれほどの厳しい減量をこなすのだ。

 彼らは脂肪を減らし、筋肉の比率を高めることでスピードを手に入れる。さらに減量のためのロードワークでスタミナ養成できるメリットがある。体重が減れば神経も鋭敏になっていく。

 つまり「体重を減らす=脂肪を削ぐ」ことで、ボクサーは最強の自分をつくりだす。スパーヘヴィー級の選手だって、試合に際しては体重を絞る。すべては「強くなるため」だ。

 もちろん、アスリートには適度な減量範囲というのがある。筋肉のパワーはもちろん瞬発力、スピードやスタミナ、気力を犠牲にしてしまっては元も子もない。

 軽量&中量級のボクサーに複数の階級を制する猛者がいることも、適正な減量幅を考えるヒントになろう。6階級を制したオスカー・デラホーヤの階級をまたいだ体重幅は上下13kg強、マニー・パッキャオが約19kg。日本人だと3階級の亀田興毅は約4.6kgだった――。

 余談ながら、柔道の全日本選手権は無差別級。結局、優勝の栄誉は重量級の選手が勝ち取っているが、ときおり「柔よく剛を制す」を体現する小さなツワモノの活躍が話題になる。

大相撲の減量とは正反対の方法論。

 レスリングやボクシングが組む、打つ系格闘技の代表なら、大相撲はクラッシュ&プッシュ型格闘技としてなじみ深い。

 激突&突き押し系ファイターにとって、体重は至上の武器となる。脂肪だって筋肉とおなじくらい重要なファクターだ。脂肪は、体当たりや突っ張りの衝撃を受け止めてくれるプロテクターになってくれるからだ。

 だから力士たちは、減量とは正反対の方法論でパワーを培う。大相撲のチャンコは一日8000kcal相当と仄聞するが、これとて、ひと昔前に比べたらずいぶん減っているらしい。

 それでも8000kcal! 成人の摂取カロリーが1800~2200kcalだから、その満腹指数、過剰摂取ぶりは推して知るべし。ひとかどの力士になるには、大いなる食欲と消化器系の丈夫さも大事な要素となろう。

【次ページ】 白鵬の体脂肪率は29%、日馬富士は23%

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