フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
スケートアメリカでロシアの超新星!
初出場初優勝のエフゲニア・メドベデワ。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura
posted2015/10/27 10:50
昨季はロシア選手権(3位)以外のすべての大会、世界ジュニア選手権、ジュニアGPファイナル……などで優勝しているメドベデワ。
次々出てくるロシア女子は「マトリョーシカ人形」。
昨季この大会で優勝したのは、やはりロシアの新星エレーナ・ラジオノワ。2位はエリザベータ・トゥクタミシェワでゴールドは3位だった。
「シカゴトリビューン」紙のベテランスポーツコラムニスト、フィリップ・ハーシュは「まるで上質のマトリョーシカ人形のように、ロシアからは次々と才能のある若い女子たちが出てくる」と書いた。
ソチオリンピックで優勝したアデリナ・ソトニコワ、昨季世界タイトルを手にしたトゥクタミシェワ、ソチの団体戦で大活躍したユリア・リプニツカヤ、昨シーズンのスケートアメリカで優勝したラジオノワ。そしてここでセンセーショナルなシニアGPデビューをしたメドベデワ。
こうしたロシア女子たちをハーシュ氏は、開けるたびにさらに小さな可愛らしい人形が続々出てくるマトリョーシカに喩えたのだ。このマトリョーシカは、いったいどこまで層が厚いのだろう。
より若い才能溢れる選手に追われ続けるという現実。
一世代前の日本女子の層の厚さが世界から“パワーハウス(最強チーム)”と呼ばれ、注目を集めたように今のロシアには才能ある女子たちがひしめいている。メドベデワはこう語った。
「毎年次々と才能ある選手が出てきます。競技者として高い位置を保ちたければ、必死で努力を続けていくしかありません」
つい2シーズン前、天才少女と世界中から注目を浴びた現在17歳のユリア・リプニツカヤはこの大会でジャンプが決まらず6位に終わっている。どれほど才能があっても、少しでも気を抜くと下から上がってきた若手に抜かれる。
この緊張感こそが、今のロシア女子のレベルを一層高めているのに違いない。