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スケートアメリカでロシアの超新星!
初出場初優勝のエフゲニア・メドベデワ。
posted2015/10/27 10:50
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Akiko Tamura
スケートアメリカで、新星が誕生した。初出場で初優勝をきめたのは、ロシアのエフゲニア・メドベデワ。
昨シーズンは世界ジュニア選手権、ジュニアGPファイナルで優勝し、ジュニアで取れるタイトルを総なめにして今シーズンからシニアに上がってきた15歳である。
SPで全ジャンプを後半で跳んだメドべデワ。
SPでは驚いたことに、メドベデワはジャンプを全てプログラムの後半で跳んだ。コンビネーションスピンからはじめ、悠々とステップシークエンスを滑りきり、最初のジャンプを跳んだときにはすでに1分40秒が経過していた。
体が疲労するプログラム後半で跳んだジャンプには10%のボーナスポイントがつく。よほどの技術と自信がなければ、できない構成である。
「このプログラム構成で滑るのは、今年が2年目。最初は難しかったけれど、もう慣れました。理由はもちろん、より高いポイントを獲得できるようにです」
フリーでは1度だけ転倒があったものの、総合206.01という高得点を出して優勝を果たした。シニアGPデビューの場なのに、まったく臆する様子も見せない。なぜこれほど落ち着いていられたのかと質問すると、通訳を介してこう答えた。
「実は少し緊張はしていました。このレベルのシニア国際大会は初めてだったので。でも音楽が始まったら、集中して滑ることができたんです」
素晴らしい演技でも……2位だったゴールド。
もっともメドベデワの優勝は、観客に複雑な思いを醸しだした。
地元のスター、グレイシー・ゴールドはフリー『火の鳥』でノーミスの素晴らしい演技を滑りきり、スタンディングオベーションを受けた。フリーで1位だったものの、SPの点差を埋めることができずに総合2位に終わった。
「今日の演技は気持ちよく滑ることができたので、優勝できなかった悔しさというのはあまりない。でも昨日のSPでのフリップの失敗に対する悔しさはあります」
そうコメントしたゴールド。SPで予定していた3フリップを、2回転にしてしまったことが高くついた。202.80と高得点を出しながら、惜しいところで自国開催GP大会での初優勝を逃した。