フットボール“新語録”BACK NUMBER
良いポゼッションにはコツがある!
風間八宏が説明する2つのポイント。
posted2015/09/26 10:30
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Kiichi Matsumoto
「どんどんボールを動かして、前のうまい選手に渡す。そうするとボールが止まらないので、前の選手も動き出しやすい」
風間八宏(川崎フロンターレ監督)
ポゼッションには「良いポゼッション」と「悪いポゼッション」がある――。
日本代表のW杯予選を見たことがある人間であれば、誰もが気がつくサッカーの真理だろう。
いくらボールを保持してもチャンスにはつながらず、時間だけがすぎ、選手がどんどん焦って行く。いわゆる「ポゼッションの罠」だ。
ただし、バルセロナやバイエルン、スペイン代表やドイツ代表を見ればわかるように、世界のトップにはゲーム支配が結果につながっているチームが存在する。彼らの場合、むしろポゼッションへのこだわりこそが、タイトルをもたらした。「良いポゼッション」の代表例だ。
「走れるうえにパスを回せる」のが王様。
すでに本連載では、「日本代表には、『走る技術』がない? 岡崎慎司の専属コーチが語る本質。」という原稿において、「ポゼッションの罠」が日本サッカーに与えた悪影響を取り上げた。
「世界がどんどん走るサッカーをしているのに、南アフリカW杯以降、日本ではポゼッションという言葉が流行ってしまった。走ることへの着目度が、日本サッカー界で格段に落ちてしまった」
岡崎慎司の専属コーチ、杉本龍勇氏はこう指摘し、日本のカウンター能力が低いことに警鐘を鳴らした。
「走る技術」のレベルアップは、日本サッカーの最重要課題のひとつである。
しかし当然ながら、走るだけでは不十分だ。ブラジルW杯で頂点に立ったドイツを見ればわかるように、「走れるうえにパスを回せる」チームが、現代サッカーの王様になりつつある。