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「駅伝には興味がないんですよ」
大迫傑が19歳で見据えていた“世界”。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2015/08/22 10:00
箱根駅伝にも早稲田のエースとして出場していたが、大迫傑の目はずっとトラック競技を見つめていた。その才能が、いよいよ開花する。
「トラックで世界と勝負したいので」
いまも忘れられない取材がある。
大迫が早大1年の秋、所沢にある競走部の合宿所を訪れたとき、目がクリっとした勝ち気な表情の19歳の若者は、こう言い切った。
「駅伝には興味がないんですよ。トラックで世界と勝負したいので」
面食らった。こんな選手がいるのかと、驚いた。そのときから、大迫はずっとぶれていない。
大迫にとって、世界陸上は2013年のモスクワ大会につづき2回目の出場となる。このときは10000メートルで21位。北京の世界陸上では、5000メートルで決勝進出を目指す。
日本から飛び出し、自らを追い込んだ若者が、北京でどんなレースを見せるのか。
その先には、リオデジャネイロ、そして東京が待っている。