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日本マラソン界の停滞感を打ち破る。
前田彩里、走りも意識も急成長中。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAFLO

posted2015/08/22 10:20

日本マラソン界の停滞感を打ち破る。前田彩里、走りも意識も急成長中。<Number Web> photograph by AFLO

世界陸上へ向けた記者会見でも、緊張した様子を見せずに笑顔で質問に答えた前田彩里。長らく低迷が続いた女子マラソン界待望のヒロインは、再び世界の頂点を争うことができるか。

大学時代は腕立て伏せ3回がやっとだった。

 トレーニングの成果ももちろんある。ダイハツに進んでからは、筋力トレーニングにも力を入れるようになった。大学時代は腕立て伏せも3回がやっと、というほど筋力が弱かった。その部分の強化を志し、体幹を鍛えることでフォームの改善につながった。

 それらがあいまっての、名古屋での快走だった。

 足早に実力を蓄える中で、当人の意識にも変化が見られる。

「目標は完走」という中で出場し、結果を出した大阪のあとは、「2020年の東京五輪に出たい」と語っていた。

 だが名古屋のあとは、世界選手権でリオデジャネイロ五輪の内定を取りたい、と目標を高く持つようになった。意識もまた、進化している。

前田の走りが、日本女子マラソン界の閉塞感を破る。

 前田は名古屋ウィメンズマラソンから約1カ月の休養を経て、5月の仙台国際ハーフマラソンに出場。大会前、2週間程度しか練習していないにもかかわらず、同じく世界選手権代表の重友梨佐らを引き離して優勝し、能力の高さをあらためて見せた。

 日本女子マラソンは、しばらく低迷を続けてきた。筋力トレーニングの途上であること、レース経験の少なさなど、まだのびしろを感じさせる新星は、その状況を打破する可能性を秘める。

 北京でも今までと変わらない思い切りのいい走りをすることで、前田の未来はさらに大きく開けてくる。

 そしてそれは同時に、日本女子マラソン界の閉塞感が破られることも意味している。

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