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『KANO』に見る、強いチームの作り方。
ヒューマニズムではなく、監督として。 

text by

阿部珠樹

阿部珠樹Tamaki Abe

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photograph byARS Film

posted2015/02/19 10:40

『KANO』に見る、強いチームの作り方。ヒューマニズムではなく、監督として。<Number Web> photograph by ARS Film

『KANO~1931海の向こうの甲子園~』は新宿バルト9ほかで全国公開中。配給:ショウゲート。

嘉義農林は、強いチームの作り方の先駆だった。

 描かれた時代は80年以上も前である。一高がリードした日本の野球はまだまだエリート意識が強かった。野球を職業にすることさえ蔑視され、プロリーグは存在していない時代。「本島人や蕃人に野球ができるのか」という実業家のほうが多数派だったはずだ。

 そういう時代にあって、強いチームを作るにはどうするかを、偏見なしに、戦略的にとらえて実践したところに近藤監督と嘉義農林の栄光がある(ちなみに初出場のこの年は準優勝)。大げさにいえば、嘉義農林は現在、世界中で実践されている強いチームの作り方の先駆的存在だった。

 エースが指のけがを押して力投し、最後は力尽きるという泣かせどころもたっぷりの演出も嫌味な感じはせず、気持ちよく観られる。選手を演じる俳優たちは野球経験者が多いそうで、試合の場面も水準以上の迫力があった。決勝戦で嘉義農林を負かす相手エースは甲子園3連覇の大投手吉田正男。ここではちょっと損な役回りだ。

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