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<全豪オープンプレビュー> 灼熱の戦いを制する者は?~錦織圭、四大大会制覇なるか~
posted2015/01/08 11:50
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
Hiromasa Mano
期待の新戦力の台頭か、はたまたベテランの逆襲か――。
'15年の勢力図を占う、グランドスラム初戦の見所を解説。
本日発売のNumber869号「全豪OP直前総力特集 錦織圭のすべて。」より、
今年初のメジャー大会のプレビュー記事を、特別に全文掲載します!
思えば1年前の全豪でのスタン・ワウリンカの優勝は変動の前触れだったのか。
'05年全仏以降、'09年全米のフアンマルティン・デルポトロを唯一の例外として、四大大会の優勝をBIG4が独占した。ロジャー・フェデラーとラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチ、アンディ・マリーの4人が黄金期を形成。5番手以下の選手が四大大会を制するのは難しいと思われていた。そこにフェデラーの脇役に甘んじていたスイスの28歳が割って入ったのだ。
その後、全米では第14シードのマリン・チリッチと第10シードの錦織圭が優勝を争った。錦織は'14年の最終ランキングで5位に躍進、ウィンブルドン4強のミロシュ・ラオニッチも7月に自己最高の6位をマークした。男子の勢力図が塗り替えられようとしている――そんな予感の中、'15年最初の四大大会・全豪が1月19日、メルボルンで開幕する。
錦織にとって大きい、全豪での2つのアドバンテージ。
新時代の旗手である錦織は当然、大会の注目選手だ。米国のテニス専門サイト、テニスドットコムの記者は'15年末の順位予想で錦織を3位に推す。錦織自身、今季はジョコビッチら上位3強の切り崩し、そして四大大会の初優勝を目指すと公言している。
全豪でのアドバンテージは、肉体的にフレッシュな状態で迎えられることだろう。昨年の全仏や全米は故障が完治せず、不安を抱えての開幕だった。連戦による疲労の蓄積、体力の目減りは小兵の錦織には宿命だ。それだけに、オフのトレーニングで燃料タンクを一杯にして臨める全豪は力を発揮しやすい大会と言える。ハードコートの大会であることも好材料。昨季、3つの大会で優勝した得意のサーフェスだ。
優勝争いの本命には、世界ランク1位のジョコビッチの名前を挙げるべきだろう。全豪では'13年までの3連覇など4度の優勝を誇る。「ハードコートでは世界一の守備力」(福井烈元デビスカップ代表監督)で、長いラリーを必ずものにしていく。錦織には全米で敗れており、リベンジを期しているに違いない。