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文化系プロレス、ひとつの到達点に。
DDTが両国で見せた笑いと闘い。 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byYukio Hiraku

posted2014/08/22 10:40

文化系プロレス、ひとつの到達点に。DDTが両国で見せた笑いと闘い。<Number Web> photograph by Yukio Hiraku

両国国技館全体を使って行なわれた“路上プロレス”。戦闘用チャリンコ「ドラマチック・ドリーム号」で爆走する高木三四郎を鈴木みのるがチョークで攻める。

ラスト3試合で展開された、最高級のプロレス。

 こうした、へそで沸かした茶が吹きこぼれるような試合の数々があった上で、ラスト3試合ではどんな団体にも見劣りしない、最高級のプロレスが展開された。団体エースの一人である飯伏幸太が持ち前の華麗なテクニックだけでなく“怖さ”も見せつけてWRESTLE-1の近藤修司に勝利。セミファイナルでは業界の盟主・新日本プロレスのトップ選手である棚橋弘至に19歳の大学生レスラー・竹下幸之介が挑んだ。

 メインはKO-D無差別級王者HARASHIMAに木高イサミ、ケニー・オメガが挑戦するサバイバル3WAYマッチ。3人同時に闘う試合形式は“企画性”の高いものに思われがちだが、この試合はそれでは収まらなかった。めまぐるしく入れ替わる主導権争い、1人で2人にまとめて技をかける3WAY特有の攻防に加え、この3人の闘いにはタイトルマッチならではの重厚さがあった。勝ったのはHARASHIMA。王座移動のドラマはなかったが、それでも満足できたのは彼の“強さ”に十分すぎるほどの説得力があったからだ。

笑いも脱力も興奮も感動も、すべてが等価なのだ。

 リングで行なわれる大喜利と、重厚なタイトルマッチ。そのどちらもDDTのプロレスだ。高校時代にデビュー、昨年はプロレス大賞新人賞を受賞したDDT生え抜きの竹下は、棚橋に敗れると「プロレスの強さで世界のトップに負けないことがテーマだったんですけど……」とうなだれた。しかし試合前のVTRでは「自分の一番の強みは、DDTのレスラーであること」とも語っている。つまり竹下は、肛門爆破や路上プロレスもある団体で磨かれてきたからこそ自分は強くなれたのだと言いたいのだろう。

「どれだけコミカルな試合があっても、最後はシリアスな闘いで締めるから素晴らしい」といった単純な公式は当てはまらない。笑いも脱力も興奮も感動も、DDTではすべてが等価なのだ。世間では、そんなイベントを何と呼ぶか。“最高のエンターテインメント”に決まっている。

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