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新エンジンで今季のF1は波乱必至!
可夢偉が挑む、ゼロからのスタート。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byAFLO
posted2014/03/09 10:45
バーレーンでのテストでもそれなりに成果を見せた小林可夢偉のケータハム。昨年はコンストラクターズポイントで最下位となってしまったが、可夢偉をドライバーに迎え反撃を期す。
不調のルノー勢、好調のメルセデス勢。
ルノー・エンジン勢が出遅れる中、好調な仕上がりを見せているのがメルセデス・エンジン勢だ。もっとも多くの距離を走り込んだメルセデスAMGはすべてのテストで常に上位に名を連ね、いまのところレッドブルに代わって、本命と目されている。
しかし、それ以上に興味深い存在なのがウイリアムズだ。
2回目のバーレーン・テスト3日目の3月1日にフェリペ・マッサが叩き出した1分33秒258は、1回目のバーレーン・テストの総合トップであるニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)が出した1分33秒283、そして2回目のバーレーン・テスト3日目にルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)がマークした1分33秒278よりも速く、バーレーンでの8日間のテストのベストタイムとなっている。
燃料搭載量やタイヤの状況が異なるものの、ウイリアムズがダークホース的な存在となってトップチームの一角を占めれば、いつも以上にエキサイティングなF1になることだろう。
可夢偉がテストで見せた、ケータハムを変える働き。
そして、日本人にとっては、小林可夢偉が復帰し、2年ぶりに日本人ドライバーの姿をF1で見られることが、何よりも注目である。主にルノーのパワーユニットの信頼性不足によってメルセデス・エンジン勢、フェラーリ・エンジン勢に比べて、レース戦略も含めマシン全体が熟成不足のまま開幕戦を迎えることになりそうだが、バーレーン・テストの最終日に100周以上走り込めたことはポジティブなサインと見ていいだろう。
またルノー・エンジン勢で、もっとも多くの周回を走破していることも評価したい。これにはエンジニアたちの弛まぬ努力があったのだろうが、可夢偉の加入も無関係ではないだろう。可夢偉がかつて所属していたトヨタの関係者も「可夢偉は速いだけでなく、チームを変える力も持っていた」と評していたことがある。それはケータハムの代表を務めるシリル・アビテブールも認めている。
「可夢偉のテストにおける働きは、まさにわれわれが彼に期待していたものだった。速さだけでなく、彼がもたらすフィードバックは、われわれチームにとってかけがえのない財産となっている。今年は本当にチャレンジングなシーズンになりそうだ」
3月16日、午後5時。2014年のF1はゼロからのスタートを切る。