野球善哉BACK NUMBER
野球界にも指導者ライセンスが必要?
このままでは野球少年がいなくなる!
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/01/29 16:30
日本全国で、今日も多くの野球少年が練習に励んでいる。彼らの能力が最大限に伸ばされる指導が行なわれてほしい。
野球では、グローバルスタンダードが存在しない。
ただ、サッカーと野球が、同列に語れないものであるのもまた事実だ。
というのも、サッカーと野球では、組織体系があまりにも違いすぎるからである。
サッカーは国際サッカー連盟(FIFA)を頂点として、すべての考え方や知識が共有されている。組織としてのあり方やクラブのあり方、資格制度、指導のあり方までが世界からトップダウン式に下りてきている。
いわば、“グローバルスタンダード”というものが存在していて、その中で国内では、日本代表を頂点として、Jリーグ、そこから下の組織へと指導の考え方が下りてきている。
しかし野球は、MLBはあれどFIFAのように、世界統一体系の組織化が成されているわけではない。
MLBの指導法がグローバルスタンダードだという考えではないし、'95年に海を渡った野茂英雄氏をはじめとして、数々の日本のプロ野球選手がMLBに在籍したが、彼らの引退後もなお、MLBの発想が日本の野球界に浸透していない現状を考えると、野球界には指導法の「正しい」理論が存在しているとは言い難い。
いまだ根強く残る根性論・精神論での指導。
実際問題アマチュアの舞台でも、何ら有効性のない指導を続けている指導者が多いというのが現状だ。
未だ消えぬ体罰問題は、高校野球でこそ減少傾向にあると感じるが、中学や小学校では、野球少年を痛めつける指導が横行している。根性論・精神論でしか指導ができず、怒号・罵声をグラウンドじゅうに響かせ、自身の指導力のなさを棚に上げて、選手をしかりつけて威嚇する指導者は、全く減る気配がない。
厳しい指導法を全否定するつもりはないが、指導理念が存在しないままに指導が行われていることに危機感を覚える。
そんな指導者が多くいては、競技人口でサッカー界に追い抜かれつつある現状も当然の結果と言えるかもしれない。