フットボール“新語録”BACK NUMBER
ブランド戦略で観客増のブンデス。
ドルトムントに学ぶライト層獲得法。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byItaru Chiba
posted2013/12/02 10:30
経営危機で失墜したブランドイメージを高めるため、マーケティング会社と契約し、生まれ変わったボルシア・ドルトムント。ゴール裏はいつも超満員だ。
「ドルトムントのイメージを特別なものにする」
その内容は、実にユーモアに溢れている。
場面はドルトムントの病院からスタート。ドルトムントのサポーターたちの腕からチューブが伸び、黄色の液体が採取されている場面が映し出される。人気俳優が扮したドクターが「アドレナリンです」と説明。そしてアドレナリンを梱包したダンボールが、ドイツ中のクラブに秘密裏に送られて行く……。バイエルンも、シャルケも、ボルシアMGも、ドルトムントのアドレナリンのおかげで盛り上がっているという意味だ。自分たちこそがリーグの人気を支えているという自負がにじみ出ている。
これらの取り組みによってドルトムントは、2012年3月、ドイツマーケティング協会が主催する『ブランド・アワード』の特別賞を受賞。サッカークラブが受賞するのは初めてだった。
ドルトムントの新ビジネス部門責任者のベネディクト・ショルツは、誇らしげに説明した。
「ドルトムントのイメージを特別なものにするために、統一されたコンセプトの下にキャンペーンを行なってきました。それが受賞につながったと思います」
ドルトムントに刺激され、リーガが動き出した。
ドルトムントに刺激されるかのように、2010年夏、ブンデスリーガもブランディングに力を入れ始める。
ブンデスリーガはベルリンのブランド・コンサルタント会社『The Brand Orchestra』と契約し、ロゴ、TV用の宣伝映像をすべて新しくした。ブンデスリーガの関連会社(映像会社や旅行会社など)のロゴまで刷新するこだわりようだ。
2012年5月、バイエルンがCL決勝に進出した際には「5月19日だけは、みんなちょっとだけバイエルン」という広告を出し、国をあげてブンデスリーガの代表を応援することを呼びかけた。