濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER

青木真也、菊田早苗、ミノワマン……。
50回の節目に結集した“DEEPの子”。 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

PROFILE

photograph bySusumu Nagao

posted2010/10/29 10:30

青木真也、菊田早苗、ミノワマン……。50回の節目に結集した“DEEPの子”。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

一列目左から佐伯繁代表、帯谷信弘、菊野克紀、今成正和、青木真也など、50回大会を記念した豪華メンバーが集結した

選手と強力な信頼関係を築いている佐伯プロモーター。

 選手との付き合い、その密度の濃さにおいて佐伯以上のプロモーターはいないと断言できる。

 試合後は勝者以上に敗者に声をかけ、有望な選手が練習環境に悩んでいれば新たな場所を紹介する。他団体でチャンスを失った選手の相談に乗り、成長すればDREAMやSRCに送り出す。勝ち続ける選手はもちろん、負けても会場を沸かせた選手は決して見捨てないから、DEEPの興行は常に試合数が多いことで知られている。

 今回は14試合プラス、エキシビションマッチ1試合。通常の興行でも10試合を超えるのが普通だ。「また(会場使用の)延長料金がかかっちゃいましたよ!」は、後楽園大会での佐伯の定番コメントだ。

死闘となったメインイベントの原動力とは?

 この日、出場した選手の思いは、メインイベントでライト級タイトルを争った菊野克紀と帯谷信弘の言葉が象徴している。

 昨年4月の戴冠以降、DREAMに連続出場していた菊野だが、DEEPのベルトを返上しようとはしなかった。

 菊野は言う。

「DEEPで育って、DEEPでチャンピオンになった僕が世界で一番強くなることが恩返しになると思います」

 PRIDE活動休止後の業界再編の中でメジャー進出の機会を逸した帯谷は、様々な状況を超えてチャンスを与えてくれた佐伯への感謝を「自分がDEEPになりたいくらい」と表現した。

 試合は、パンチの連打とヒザ蹴りで圧倒した菊野が大差の判定勝ちを収めた。だが帯谷はKO寸前のピンチを何度もくぐり抜け、試合終了間際にはマウントポジションを奪ってみせた。菊野の凄まじいラッシュも、帯谷の驚異的な粘りも、DEEP記念大会のメインでタイトルマッチを行なうというシチュエーションへの思い入れがもたらしたものではないか。

佐伯に認められた男たちはみな“DEEPの子”である。

 大会後の囲み取材で、ベストバウトはどの試合だったかと訊ねられた佐伯は「第1試合ですかねぇ。興行に火をつけてくれましたから」と答えている。まだ客席が埋まりきっていない段階で行なわれた、寺田功と中村優作による打撃戦だ。

 このコメントをメディアを通して知った寺田と中村は(あるいは他の若手選手たちも)自分たちの闘いが“たとえ前座でもしっかり見られている。いい試合をすれば評価してもらえる”ことを心に刻んだに違いない。何年かのち、メジャーイベントに参戦することになったとしても、彼らは自分が“DEEPの子”であることだけは絶対に忘れないだろう。

関連記事

BACK 1 2
青木真也
ミノワマン
菊田早苗
菊野克紀
帯谷信弘

格闘技の前後の記事

ページトップ