濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
青木真也、菊田早苗、ミノワマン……。
50回の節目に結集した“DEEPの子”。
text by

橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2010/10/29 10:30

一列目左から佐伯繁代表、帯谷信弘、菊野克紀、今成正和、青木真也など、50回大会を記念した豪華メンバーが集結した
10月24日に開催された『DEEP 50』JCBホール大会では、当日券が1枚も販売されなかった。立ち見も含め、すべてのチケットが前売りで完売したのだ。
旗揚げ10年目、50回の記念興行に、異例とも言える豪華な出場メンバーが揃ったからである。それでも、代表の佐伯繁は「ファイトマネーがかかってるんで、収支はまあ、トントンですかねぇ。あとはPPVの売り上げしだい」と言う。
第1試合、第2試合は若い選手の試合だったが、それ以降は“メジャー級”ファイターが続々と登場した。とりわけ後半戦のラインナップは凄まじい。PRIDE、UFCで活躍した長南亮、DREAMで石井慧と闘ったばかりのミノワマン、さらにSRCを主戦場とする菊田早苗と続き、DREAMライト級王者の青木真也は元ボクシング世界王者のヨックタイ・シスオーと対戦。今成正和vsDJ.taikiというDREAM出場経験者同士の一戦も行なわれた。
採算度外視のマッチメイクと“ご祝儀”ファイトマネー。
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とはいえ、彼らは単なる“ゲスト”ではなかった。
ミノワマンは2001年1月のDEEP旗揚げ戦から出場し、2002年に有明コロシアムで開催されたビッグマッチでは田村潔司とメインイベントで対戦している。菊田は本戦出場こそ2度目だが、主宰するジム・GRABAKAの選手たちの多くがDEEPを主戦場としてきた。長南と青木はDEEPの登竜門マッチ『フューチャーファイト』の出身だ。
“現住所”がどこであれ、この日、リングに上がったファイターの履歴書にはDEEPの4文字が太字で刻まれているのである。
そういうメンバーを、佐伯はこの記念大会に集結させた。採算度外視で、DEEPの過去と現在、未来を一望できるメンバーを揃えたのである。
「僕はファイトマネーなんかいくらでもいい」(青木)
選手たちもその気持ちに応えた。青木とミノワマンは9月25日の『DREAM.16』から1カ月という短い試合間隔での参戦。メジャー団体に出場する時よりもランクを下げた“ご祝儀価格”のファイトマネーで出場した選手も多かった。超満員の豪華興行は、心意気の売り買いで実現したものだったのだ。それでも、JCBホールという会場の規模を考えると破格の金額だ。
数カ月前、青木はこんなことを言っていた。
「10月のDEEP、僕も出たいんですよね。でも予算的に厳しいかなぁ。僕はファイトマネーなんかいくらでもいいんだけど、佐伯社長はきちんとした額を払おうとするだろうから……」