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6月だけで4人も補強したリバプール。
2年目ロジャーズ監督の本気度と勝算。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2013/07/03 10:30

6月だけで4人も補強したリバプール。2年目ロジャーズ監督の本気度と勝算。<Number Web> photograph by Getty Images

6月22日にセビージャからリバプールに移籍したルイス・アルベルト(右)。昨シーズンはローン先のバルセロナBでプレーした。

 今夏の移籍市場では、リバプールが好スタートを切った。7月1日の市場正式オープンを待たずに、4名の新戦力獲得を発表。就任2年目のブレンダン・ロジャーズという40歳の若手監督を「復興」指揮に抜擢した、フロントの決意が窺える積極補強だ。

 何より、昨夏の失敗を繰り返すまいとの覚悟が強いはずだ。昨年8月末、センターFWのアンディ・キャロルをレンタルで放出したリバプールは、トップ下に狙っていたクリント・デンプシーをトッテナムに競り落とされた。その時点で他候補を物色する時間は、もはや残されていなかった。

“足下志向”の新監督にとって、空中戦で生きるキャロルの必要性は低かった。とはいえ、FWの駒不足というハンディを背負った事実は否定できない。結果として、ジョーダン・ヘンダーソン、ラヒーム・スターリングといった、経験の浅い若手が前線で多用されることとなった。ただでさえ、カウンター多用からのスタイル変更で不安定なチームは、開幕から5試合連続で勝ち星なし。リーグでは、100年ぶりとなったクラブ史上最悪のスタートが、最終的なトップ6漏れの要因となったといえる。

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 しかし、今冬にフィリペ・コウチーニョとダニエル・スタリッジを前線に加えたリバプールは、昇り調子でシーズンを終える。2月以降のリーグ戦14試合は2敗のみ。ニューカッスル戦(6-0)やスウォンジー戦(5-0)では、格下を完璧に叩き、上位との対決でも、トッテナムとの接戦を制し(3-2)、チェルシーとも引き分けた(2-2)。こうした終盤戦の出来が、再建1年目は「中位でも仕方がない」と言っていた監督に、翌年のトップ4狙いを意識させたのだろう。

昨季よりも「20得点上乗せできる戦力」が新加入。

 ロジャーズは、ボールを支配して攻めるサッカーを信条とする監督だ。

 リバプールでの2年目を前に、早くから得点力アップを優先課題に挙げ、リーグ4位の71得点という数字に「20得点上乗せできる戦力が欲しい」と主張していた。セルタとセビージャから共に約11億円で獲得した、イアゴ・アスパスとルイス・アルベルトの両スペイン人は、基本システムにおいて前線とみなす[1+3]の布陣でも、オプションの3トップでも、複数ポジションでチャンスに絡む能力を持つFWだ。

 約23億円でウェストハムに売り払ったキャロルだけでなく、この先もベンチが増えると思われるスチュアート・ダウニング、或はジョンジョ・シェルビーあたりも売って追加予算を得れば、ヘンリク・ムヒタリアンの獲得も現実的だ。ロジャーズは、シャフタールが約38億円の値札を付けたこのアルメニア人MFに、「今夏の目玉商品」として目をつけてきた。ウクライナのプレミアリーグで25得点を記録したばかりの24歳は、やはり20代前半のアスパスとアルベルトと同様、伸びしろもある即戦力候補だ。

【次ページ】 失点数が減らなくとも、得点数さえ増えれば……。

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